奇妙な考え方が目立つ河合雅司

産経新聞に河合雅司なる客員論説委員がいる。6月21日の産経新聞「日曜講座 少子高齢時代」にはその河合雅司の「コロナ不況でブーム消滅か」という“論説”が載っている。元号が令和になった2019年の婚姻数が7年ぶりに増加したそうなのだ。しかし、今回のコロナ不況でせっかくの上昇傾向も続かないだろうとのこと。後段の小見出しは『テレワークで状況改善』というものだ。だが読んでみるとかなり無理な部分が見受けられる。少しコメントしよう。

「長時間労働と裏表の関係にある「夫の家事時間」はスウェーデンの2時間51分を筆頭に各国が2時間以上なのに対し、日本は41分に過ぎない。労働時間の短縮は夫の家事参加時間増への必要条件ではあるが十分条件ではない。オーストラリアで見聞したが、かの地では子供だけで留守番をさせた場合は罪になるのである。そのためもありベビーシッター制度が発達している。そういう日本とのシステムの差を抜きにして単に時間と行動のクロスプロットをするような相関の求め方はすべきではない。理科系であれば基本として叩き込まれるが文科系では間違った取り扱いをしていることが多い。化学反応で周知の律速段階の存在なども知っていなければならないことの一つだ。

「夫の家事時間が長い世帯ほど、子供が2人以上である割合が大きいとのデータもある」

これは逆ではないのか。子供の数が増えれば特に共稼ぎ家庭では物理的に妻の子育て作業に限界が来る。必然的に夫が家事参加を増やさざるを得ない。どちらが原因で、どちらが結果かを見極める能力も必要である。夫の家事時間をどう確保するかが2人目以降の出生数を左右していると言っている。単純すぎないか。参考のために書けば私の祖父の兄弟は14人である。

最後の処にはこうある。

「テレワークは雇用の流動化を促す。兼業など複数から収入を得る働き方が一般化すれば、不況下でも収入は安定し、婚姻件数は大きく減ることなく推移する可能性もある」

何やら「捕らぬ狸の皮算用」に聞こえる話だ。テレワークがもしも進めば、男女だけでなく人と人の出会いの機会は激減するだろう。婚姻の成立要因を在宅時間の関数だけと見るのは愚かというものだろう。勿論冗談だが、引きこもりの婚姻率は際立って高いのかね?やはり実験物理や実験化学を学ぶ必要があるのではなかろうか、文科系でも。

「テレワークをすれば兼業が出来て…」というのも安易すぎる仮定で大いに疑問だ。テレワークでこなせる仕事がどれだけあるというのかね。頭の中でシミュレーションできているのだろうか。

 


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