園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(233)本社からの訪問者(3)和田敏信会長

和田敏信は通称「ワダ ビンシン」、通産省事務次官の後石油公団総裁に天下り、更にいわゆる「渡り」で石油資源開発社長に天下ってきた人である。石油鉱業になどもともと興味などないようで、社長時代から毎年のように訪米、モンデール氏やらキッシンジャー氏と面談、世界を語っていたらしい。そういう人は石油資源には必要ではないのだが、天下り側にとって石油資源開発が必要だったらしい。何しろ2千億円を超える資金を持っていたのだから。或る天下りは「こんなに使える金があるのか」と喜んだそうだ。

その和田敏信がオーストラリア訪問をするとの話が東京本社から届いた。奥様帯同で、とのことだった。昨今安倍昭恵が私人なのにという話をよく聞くが、首相から役人まで公費で私事を賄おうとするのは同じらしい。東北ではこういうのを「ホイド(乞食)」と呼ぶがそれはさておき、その知らせを受けたパースの総領事館やジェトロには緊張が走った。勿論わが社の会長としてくるのである、関係先とのスケジュールの打ち合わせに忙殺されてプロジェクトへの対応などできる状態になかった。石油開発事業にとっては邪魔以外の何物でもなかった。

和泉補佐官のコネクトルーム指定ではないが、本社からはホテルに関する条件などの事細かい指示が次々に飛んでくる。その条件に合致するホテルなどパースには一軒もないのである。例えば英国から大臣クラスが来た時に利用するヒルトンでどうかと言えば、ルームチャージが「安価過ぎて」駄目だと返事が来るのだ。カナダのカルガリー訪問の時はエリザベス女王がお泊りになった部屋でも(安すぎるからと)難しく、部屋代をホテルに頼んで高くしてもらったというようなことまで伝わってきた。慥か1泊3千ドル以上という話のようだった。

面談相手の指定も来るのだが、オーストラリアサイドが望んでもいない話をするのではアポなど受け付けてもらえない。帯同する奥様のアテンドはジェトロの所長夫人がするが、そのプログラムをどうするかなど、もうてんやわんやの大騒ぎだった。こんな訪問ならない方が日米関係も日豪関係もより良くなるのではないかとの感想を持った。

が、突然このパース訪問は取り消しになった。なんでも某不祥事の影響だと聞いた。振り回されて、辟易して、そして疲れ果てていた関係者で消えた訪問計画に関する慰労会をしたほどだった。「良かったねえ」が挨拶だった。

爾来、旅行したがる者を見るたびに、ぜひ見てきてくださいと言われて出かけていく“裸の王様か”と感じるようになった。そういえば専用機が欲しい外務大臣なんてのもいたナ。

 


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