二つの産経抄、性根が歪んでいるようだ

検察庁法改正に対し反対の声が大きい。名乗らずに好き勝手なことを言う、実はほんの一握りのネット上の意見はともかくとして、弁護士会の反対表明に始まり、何と元検事総長をはじめとする検察OBの反対意見書が法務省に提出される事態なのである。検察の独立性への懸念の強さは憂いの段階をはるかに通り越しているようだ。

いつものように、安倍晋三首相は検察官の役職定年を内閣が恣意的に延長することなどない、と断言するが、その権限を法案成立・施行後に実際に使うことになる首相が恣意的に使わないと「言った」からといってそれを信じるのは馬鹿というものだろう。すでに多くの疑惑にまみれる安倍晋三首相の発言に信頼性などないのである。信用できないからこそ弁護士会も多数の検察OBも反対しているのだ。

この件に関して産経抄が2回も触れている。先ずは5月13日だ。

「今年1月に政府が閣議決定した黒川弘務・東京高検検事長(63)の定年延長との関わりも取りざたされる。官邸に近いとされる黒川氏を次期検事総長にするために、氏の定年延長を正当化したのでは、との疑念である」

との疑念に言及したうえで、

「「俺の正義は、罪をまっとうに裁かせることだ」。佐方の信念は、すべての検察官が共有しているはずだ」

と書いている。佐方とは高木彬光の小説の主人公である。さて、この信念をすべての検察官が共有しているならば、今回の黒川問題など生じない。「官邸の守護神」などと呼ばれるだけでなく、小渕優子の事件も甘利明の事件も、その他の事件も安倍晋三首相に近い人間の事件をもみ消してきたと具体例を挙げて批判されるわけがないだろう。その点で、この産経抄の書き手の歪んだ執筆態度は明白である。

では5月16日の産経抄を見てみよう。

「小紙も含めマスコミは黒川氏について「首相官邸に近いとされる」と書き、黒川氏宛てにカッターの刃が入った封書が届く事件も起きた。だが、安倍晋三首相自身は周囲に語っている。「何を根拠に近いと言うのか。私は黒川氏をほとんど知らない」」

安倍晋三首相自身が黒川などほとんど知らないと言っていることを記している。森友問題で「良い学校だ」といっていたのを「籠池はしつこい奴だ」といとも簡単に言うことを変える人なのである。その言の軽き事か特徴なのだから、本人の言い訳など記事にする価値もないのではないか。書くならば裏を取ってからにすべきではないか。

一番驚くのは、最後の部分だ。

「過去に政治による捜査介入はあった。平成22年、沖縄・尖閣諸島沖で海上保安庁巡視船に体当たりを繰り返した中国人船長を、民主党の菅直人内閣が中国にこびて強引に釈放させた事例がそれである」

と書いている。世論誘導のためか、国民洗脳を目的とするのか、安倍晋三首相の検察への影響力に関する懸念に関して何故民主党の政治的捜査介入の例を出す。自民党の歴史には佐藤栄作関連の大疑獄事件に関する立派な指揮権発動の実例があるはずであろう。此の阿比留瑠比型の間違った例示には産経新聞の良心を疑わざるを得ない。

検察への政治介入が起きるであろうことを一番確信しているのは産経新聞ではないだろうか。

この二つの産経抄は以下で読める。

https://special.sankei.com/f/sankeisyo/article/20200516/0001.html

https://special.sankei.com/f/sankeisyo/article/20200513/0001.html

 


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