近年の政府の科学技術政策が日本の科学研究低迷の主因

産経新聞(16日)の「主張(社説)」である「科学技術立国 人を育てる政策を掲げよ 成果偏重が「失速」を招いた」は安倍政権を含む自民党政府の科学技術政策の間違いが日本の科学研究の低迷を招いていることを強調している。要点をトレースしてみよう。

冒頭に近く、ノーベル賞受賞者吉野彰の言葉を引用している。

「研究者は役に立たない研究を一生懸命やってほしい。目的があってするのではなく、好きな研究をする。そのほとんどは無駄になるが、無駄をやらないと、とんでもないものは出てこない」

そして、続いて、

「吉野氏の後進研究者へのメッセージに、日本の科学研究の現状への強い危機感が滲(にじ)んでいる。研究者が自由な発想で研究に打ち込める環境であれば、このようなメッセージは発信しない」

と書いている。つまり「短期的な成果を偏重する近年の科学技術政策」は誤りだと主張しているのだ。続いて「ネイチャー」の現状分析、

「日本の科学研究はこの10年間で失速し、他の科学先進国に後れをとっている」

を紹介した上で、

「国内外からの警鐘にもかかわらず、政府は危機的状況から脱却する施策を示せてはいない」

と批判している。さらに具体例として山中教授を中心とするIPS関係予算の不可解な削減について、

「昨年11月に表面化したiPS細胞(人工多能性幹細胞)の備蓄事業をめぐる「騒動」で、政府の危機感の欠如と、不透明で場当たり的な科学技術政策の形成過程があからさまになった」

と指摘している。これは昨年週刊誌で大きく取り上げられた、を和泉首相補佐官の“京都○○旅行”の時の事だろう。

結語の一つとして、

「政府はiPS細胞をめぐる「騒動」で露呈した長期的視野の欠如、研究者軽視を猛省し、抜本的な転換を図らねばならない」

と産経新聞は書くが、指摘をしようが警告しようが役人が科学研究に長期的視野が持てなければ実現はしない。日本の官僚は「行政官をもって役人と称する」という世界であったはずだ。文系の経済産業省の事務屋が官邸で科学技術政策を議論・主導すること自体が誤りのもとではないのか。

この「主張」の冒頭は、

「資源の乏しい日本が持続的に繁栄し、国際社会に貢献していくためには何が必要か。国民の多くが「科学技術」を挙げるだろう」

である。日本が将来ともに頼るべき科学技術を、「科学技術そのものを知らず、科学研究の進め方、発展のさせ方など想像もできぬ「科学音痴」どもに委ねるところが間違っているのである。むしろ官僚は理科系を以てする、位の改革が必要ではないのか。「官僚亡国」はあっても「(事務)官僚立国」なんぞありえないのだから。

尚、この「主張」は以下で確認できる。

https://www.sankei.com/column/news/200106/clm2001060002-n1.html

 


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