東京特派員と大阪特派員の差が余りにも大きくないか

湯浅博さんありがとう。産経新聞(1210日)の「東京特派員」の題は「銭かねいはぬ世が恋し」である。岡野知十の「明月や 銭金いはぬ 世が恋し」から取ったものである。

「到来物の栗きんとんをほおばりながら、何気なく深川界隈の地図を眺めていた」

なんて書き出しは、直木賞や芥川賞の対象になんぞなれない、一流文学者のものである。つまり低級小説家の手になるものとは格調が異なると言いたいのである。最近の馬鹿どもの用いる「何気に」などというアホ表現を使わぬところもよい。当世いわゆるB層向けのものが主流を占める中、教養人向けの文章を書く人は珍しくなったこともあり、この湯浅博の存在は心強い。

話は深川界隈に見つけた「冬木」なる地名から始まる。そして地名の由来に移る。

「冬木屋は、上野国(群馬県)から江戸に出た上田直次がおこした。三代目冬木屋弥平次は一族の上田屋重兵衛と、仙台堀川の南の地を材木置き場として、幕府から買い取った。宝永2年町屋をたてて、深川冬木町と名付けたのがこの町の始まりである」

と江東区のHPから由来を説明する。そして冬木弁天堂という深川七福神の一つの由来につなげる。そして明暦の大火後のいわば復興需要を受けて「材木置き場が隅田川対岸の深川に集められた。かくして、材木商が軒を連ねる木場が誕生する」と木場の由来に話を展開する。さらに豪商「冬木屋」が日本画家の尾形光琳のパトロンとなったことや光琳が冬木屋の養女のために白綾地に秋草模様を描いた「冬木小袖」に触れる。続けて、「山本周五郎の「しじみ河岸」、藤沢周平の「闇の歯車」、そして山本一力の「峠越え」と、おなじみの作家たちがここを舞台に選んだ」と、冬木が時代小説の舞台として江戸の代表的な場所である点にも触れている。

地名から豪商の存在へ、弁財天の話をして読者を一服させ、尾形光琳のパトロンとしての冬木屋に言及し、木場の成立に話を及ぼし、さらにはその冬木を舞台にした江戸時代小説に読者を導く。単に誰かの文章を切り貼りしたようなものとは、グレードが違う。大阪特派員の山上直子と比べれば雲泥の差であることは一読すれば分かるだろう。囲碁で言う、プロ、アマの差は20段などという言葉を思い出すほどだ。

残念ながらお目にかかったこともないが文章を拝読して尊敬の念を覚える。さらなる健筆を祈りたい。

 


コメント
コメントする








   

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  
<< April 2020 >>

にほんブログ村

selected entries

archives

recent comment

  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(88)人事考課を書き換えさせた石油資源開発人事部
    名無し (10/15)
  • 国際石油開発帝石(インペックス)は経営行き詰まりなのか?それを暗示する現象(2)
    名無し (08/20)
  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(132)ホテル代の踏み倒し
    No use (07/25)
  • 論理の誤り―纏向遺跡と桃の実の年代
    No use (07/24)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    No use (07/24)
  • 『人麻呂の暗号と偽史『日本書紀』〜萬葉集といろは歌に込められた呪いの言葉〜』を電子出版化した
    ふひと (07/11)
  • 国際石油開発帝石のイクシスプロジェクトは「大失敗」?!
    高松 和弘 (06/27)
  • 起きる確率の高い南海トラフ地震の被害額が1,400兆円以上と言うなら
    toshi (06/14)
  • 決裁文書の事後改竄は単なる文書管理の問題ではない
    giinnokoe (06/01)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    名無し (05/28)

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM