英語教育より国語教育をせよ

加計問題と同様に、安倍政権が特定業者(教育ビジネス)への利益誘導策として無理やり実施を決めたと強く推認させる、大学入試に関する共通テストに、民間英語試験を導入させる計画が、図らずも安倍晋三首相に極めて近い萩生田文科大臣の『身の丈発言』で中止になった。教育関係者がこぞって反対し、国立大学でも東京大学や東北大学は採用せずと決定した怪しげな制度だった。

政府は中止と言っているのだが、京都大学名誉教授の佐伯啓思は「廃止せよ」と主張している。河北新報(1125日)の「時評」欄の「民間英語試験導入は廃止を」のエッセンスを示したい。

佐伯啓思は「格差産む「改悪」」、「学校は限界状態」、「国語力こそ大事」との小見出しを設けて3段に分けて意見をまとめている。第一段では、

「この「改革」が「改悪」であることは言うまでもないだろう」と政府の方針を切り捨てている。また、異なった複数試験の比較の困難さや、個々の民間試験の持つそれぞれの「傾向」の存在から、「それ(試験結果)と真の英語の表現力や、社会的コミュニケーション能力とはほとんど関係はない」と言い切っている。

第二段では、諸外国で英語会話能力を必要とするのは、多民族国家であったり、他国に出稼ぎに出なくてはならぬ国情からであり、国中で日本語が通じる日本においては英語など必要度が低い、との或る留学生の言葉を紹介し、日本での英語の必要性に疑問のあることを示している。

第三段では、「そもそも日本語能力だけでなく、コミュニケーション能力全般が低下し、世界についての知識・関心も低下しているこの文化状況の中にあって、英会話力の習得より先にやらなければならないことはいくらでもあるだろう」と指摘し、英語力よりも、話題、ユーモアのセンス、相手の真意を理解する力、場面を読む能力につながる母国語による表現力と文化を身に着けることの方が大事だと説く。そして、

「本当に表現したい内容もないのにいくら流ちょうな英語だけしゃべっても無意味だ」

と断ずる。

まことにその通りだ。1117日の産経新聞のコラム「世界裏舞台」には佐藤優が同じく英語民間試験導入問題について書いているのだが、その議論が枝葉末節的であり、佐伯啓思の論と比べ、視点・論点の”未熟さ”が際立っている。役者が違うと言ったらよいか…

 


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