河田東海夫の非科学的解説に唖然

原子力発電環境整備機構の元理事という河田東海夫が、韓国が日本の福島原発での汚染水の海洋放出に関して注文を付けるのに対して、日本の省庁が連携を強めるとした産経新聞(1113日)の記事に解説(談)を寄せている。

しかし、何というか、原子力ムラの人だけに内容が科学的でない。例えば、

「東京電力福島第1原発のタンク内の「処理水」の大半はそのまま放出できる状況にないが、処理水に含まれるトリチウム以外の放射性物質は、多核種除去設備(ALPS)や別の装置で再度浄化処理すれば除去できる。トリチウムは除去できないので、仮に海洋放出する場合は、基準濃度以下のレベルに希釈する。韓国を含め各国の原発も同じようにトリチウムを希釈して放出しており、日本だけが批判されるいわれはない。」

と冒頭に書いているのだが、他国がしているから日本もそうしてよいと言った議論は根本から誤りだ。多くの国が核兵器を持っているから日本も持ってよいというのと同じような判断は危険であろう。あくまで、海洋排水中の放射能に関してはその絶対評価、個別評価に基づいてその是非を判断するのが科学的態度であるはずである。放射能という危険物に関して“まやかし論法”など使うべきではない。

次に、

「韓国を含め各国の原発も同じようにトリチウムを希釈して放出しており」

の部分だが、各国の原発がそろって大事故を起こし、大量の放射性の排水を流しているわけではないのだから、各国の原発と言っているのは平常運転中の放射性物質の放出のことを言っているはずだ。日本の原子力に関しては、政府(経済産業省)も電力業界も押しなべて原発からは放射能など漏れ出ませんと国民を欺いてきたのである。その件は次のURLを参照願いたい。

http://www.inaco.co.jp/isaac/shiryo/hiroshima_nagasaki/fukushima/12.html

私自身、福島原発からの放射能は事故によってはじめて漏れ出したものと信じていたくらいである。次に、

「ちなみに韓国の主要な原発である月城原発は1999年10月以降、累積で6千兆ベクレル超のトリチウムを日本海に放出してきた。福島第1原発で貯留中のトリチウムの総量は約1千兆ベクレルだから、月城原発の累積放出量は6倍超となる。こうした事実を踏まえると、日本のトリチウムをめぐってあれこれ難癖をつける資格は韓国にはない」

の部分に注目願いたい。基本的な間違いがある。

福島原発の敷地内のタンク群に貯蔵されているのは東日本大震災での(結果的)原子炉破壊によって冷却水や地下水と核燃料(デブリ)とが接触することでできた汚染水をALPSで処理したのちの処理水であり、そこには平常運転時のトリチウム放出量が含まれていない。一方、韓国の月城原発の放出量は平常運転の時の放出量の総量計算値である。そのまま両者を比べるのは非科学的以前の小学生みたいな議論であろう。新聞記事に査読者がいないのをいいことになんといい加減なことを…と感じる。

それよりも平常運転時のトリチウムを大量に韓国の原発が海洋放出しているなら当然日本の福島原発を始めとした原発はトリチウムを恒常的に海洋放出してきたのではないか。

原発はベントによって大気中に、海洋放出によって海洋に放射能を排出し続けてきたのである。それも「放射能は閉じ込めています」と嘘をついて。

そういうことにかかわってきた者などに解説などさせること自体も間違いではないのか?

「日本だけが批判されるいわれなし」との言葉をじっと見てみれば、それは「みんな批判されて当然だ」という意味であり、汚染水の海洋放出など悪いことだと承知していることの表れではないのかな、とも感じる。

原子力ムラなど「金まみれの嘘つき村」と看破すべきだと感じる。なお、この河田東海夫の解説(談)記事自体は以下で確認できる。

https://www.sankei.com/politics/news/191112/plt1911120043-n1.html

 


コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< January 2020 >>

にほんブログ村

selected entries

archives

recent comment

  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(88)人事考課を書き換えさせた石油資源開発人事部
    名無し (10/15)
  • 国際石油開発帝石(インペックス)は経営行き詰まりなのか?それを暗示する現象(2)
    名無し (08/20)
  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(132)ホテル代の踏み倒し
    No use (07/25)
  • 論理の誤り―纏向遺跡と桃の実の年代
    No use (07/24)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    No use (07/24)
  • 『人麻呂の暗号と偽史『日本書紀』〜萬葉集といろは歌に込められた呪いの言葉〜』を電子出版化した
    ふひと (07/11)
  • 国際石油開発帝石のイクシスプロジェクトは「大失敗」?!
    高松 和弘 (06/27)
  • 起きる確率の高い南海トラフ地震の被害額が1,400兆円以上と言うなら
    toshi (06/14)
  • 決裁文書の事後改竄は単なる文書管理の問題ではない
    giinnokoe (06/01)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    名無し (05/28)

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM