読みやすくなった山上直子、だが…

ものを書くには起承転結が重要と教わったものだ。産経新聞の山上直子論説委員の文章にそれが不十分で、何が主題やらよくわからぬものが多かったのだが、1013日の「日曜に書く」の「日本の色はすばらしきかな」と題する一文は、従来と比べぐっと改善されたように思える。もっとも、内容のほとんどは吉岡幸雄へのインタビューと同氏の著書に依存しているのであるが。

それはさておき、やはり山上直子が山上直子である特徴は明瞭に残っている。冒頭にそれは凝縮されていると言ってもよいかもしれない。引用しよう。

「平安文学の最高峰『源氏物語』の新たな写本が発見されて話題だが、もう少し早ければぜひ話を聞きたかった人がいた。先月末に急逝した染色の第一人者で染織史家の吉岡幸雄さん(享年73)。京都の「染め司よしおか」の5代目当主だった。見つかったのが源氏54巻のうち、最も人気の高い名シーンがある第5巻「若紫」だったから、なおさらである。」

これを書いて自分で何か変だと気づかないところに山上直子の能力不足、研鑽不足が表れている。

最近発見されたのが『源氏物語』の第5巻「若紫」の写本だったというのだが、他の写本とは全く異なる内容であったわけでもないにもかかわらず(少なくとも山上直子の文章からはそう判断される)、この発見がもう少し早ければ生存中の吉岡幸雄に話を聞きたかったと山上直子が書いている。

「この発見がなければ話を聞こうとは思わなかったのかい」などという野暮な質問はしないが、この発見ともう一度話を聞きたくなったことを関連付ける理由には全く言及がないのである。重要なはずの導入部(枕の部分)には神経を使わぬ人のようだ。続く「見つかったのが源氏54巻のうち、最も人気の高い名シーンがある第5巻「若紫」だったから、なおさらである。」にも驚く。人気の高い巻だと、染色史家に話を聞きたくなるのも、常人には理解できないものだ。頭脳構造が散漫にできているとしか思えない。

修行不足のまま論説委員になどなるべきではないし、するべきでもない。しかし若干の進歩も見えた、基本からやり直せば立派な物書きになれるかもしれない。

 


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