千玄室の一服に感じる雑味

時折産経新聞にコラム「一服どうぞ」として裏千家元家元の千玄室がコラムを書いている。930日は「素晴らしい和やかさ」という題だった。一服を味わったのだが爽やかさが感じられない、しかも歪んだというか、苦み、えぐみがある。その原因は、一言居士ではなく「ヨイショ居士」的な内容のためのようである。

今更ながらではあるが、令和という元号に言及している。

「外務省で、「令和」をビューティフル・ハーモニーと訳して海外へ紹介している」

「令は命令などに用いていることが多いので、ちょっと威圧的と思われるかもしれないが、古語に「菊花令人寿」というのがある。令人は、人の心を引き寄せる、人をしてしからしめるといい、菊の花の自然の美しさが人の心を和やかにしてくれる、尊ぶという意味である。だから「素晴らしい和やかさ」ととらえて当然である」

と書いているのだがこれってこじつけではないか。千玄室の解釈だが、それでは「寿」がどこかに行ってしまっているではないか。この「菊花令人寿」は一般的解釈である「菊花人をして寿ならしむ」、すなわち、「菊花は人の命を永らえさせる」とするのが妥当である。何も日本政府の強弁を無理にサポートする必要はあるまいに。もっとも、裏千家という茶道、すなわち茶道ビジネスに関して政府に依存することも多いのだろうからこのような態度もやむを得ぬのかもしれない。

「菊花令人寿」の軸は99日の重陽の節句の茶席に良くかけられるものだ。重陽の節句は「菊の節句」とも呼ばれ、この日には菊酒を呑んで健康を願う風習もある。茶の湯の宗匠たるものはもっと心の伸びやかな人がなるものと思っていたが。また禅の修行もそのためにあるものと思っていたが。裏千家では違うのかもしれないと感じた。

「釈尊の教えの中に三法印がある。一に諸行無常。二に諸法無我。三に涅槃(ねはん)寂静。さらに一切皆苦があり、これで四法印、すなわち人間の我(が)を戒められ、生まれたときから死ぬまで人間はみな苦しみ悩み悲しみの中で終えてしまうという実に切実なお教えである」

の部分も短絡的というか近視眼的ではないか。釈尊は万物(宇宙)の真理を解いているのではないか。色は空に変化し、空はまた色に変化する。あらゆるもの、現象は移ろいゆくものである。そして万物(現象)はそのもの単独で存在するのではなく他のものとの相互作用の中に存在する。涅槃(悟り)の境地は寂静である。また、「一切皆苦」は楽も変化して苦になるから、すべては苦であると言っているのであり、逆に言えば苦も楽に変化するのである。「生まれたときから死ぬまで人間はみな苦しみ悩み悲しみの中で終えてしまうという実に切実なお教え」と解するのは勝手だが、それは誤りではないか。

それよりも、この言葉を受けての次の結語が理解できない。

「それ故に苦しみや悩みから立ち直り、せめて少しでも他の人のためになるよう精進努力することが正しい生き方だと考える。生きる上には沢山の困難がある。それを乗り越えていこうとする人間には必ず救いの手が差し伸べられるに違いない」

特に最後の「救いの手」など後世の宗教が説いたものだろう。千家に生まれ、世襲制度により華やかな家業を継いだものにもそれなりの苦労はあったのであろうが、どん底の生活をしてきたものの苦労を知らぬのではなかろうか。

「救いの手」が必ず現れるのなら厳しい仏道修行など不要である。喝!「人間は苦しみ悩み悲しみの中で終えてしまう」と自分で書きながら、不可解!

 


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