どうせならあの方にお勧めしては

私の祖母は文楽の吉田文五郎の贔屓だった。その気質を受け継いだ祖母の二男(私の伯父)が文楽、歌舞伎、日舞などが好きで、自宅で仲間を集めては踊りの稽古などまでしていた。大学院のころだったか、その叔父に頼まれ、吉田文五郎の弟子の吉田玉五郎に届け物をもって大阪の朝日座の楽屋にお邪魔したことがある。玉五郎のご配慮で、舞台も見た。確か題目は「義経千本桜」すし屋の段だったのではなかったかと思う。太棹の義太夫節に圧倒された。およそ、長唄、常磐津、清本とは根本から違う芸である。見るほどに人形遣いの姿が消え、人形が生きている人間のように見えてくるから不思議である。無表情の能面に無限の表情を描き出す能楽と通ずるものを感じた。

さてその文楽の太棹について産経新聞の「大阪特派員」(山上直子)が『文楽芸談 三味線 竹澤團七 橋寿のつぶやき』(聞書・荒木雪破)の紹介をしている。いわば読書感想文である。

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/【大阪特派員】山上直子-文楽三味線、芸談から入門/ar-AAGocCv#page=2

文楽に興味を持ち、これが素晴らしいものと感じるならば、単なる読書感想文ではなく、文楽に興味を持たせるだけの書物であるならあの方、文楽には補助金を出さないなどと言った橋下徹にお勧めすればよかったのではないか?

私は芸術の中では、お笑いのような低級なものは論外だが、バレーもオペラも好まない。しかしだからと言ってそれらの文化事業に補助金を出すななどとは言わない。自分が理解できないことは数あるが、だからと言ってそれらが間違いだということではないのである。個人的に好まないのはそれでも問題はないが、為政者として個人の理解できる出来ないで判断してはいけないことも多々あるのである。

「僕は文楽の意義が理解できない」と補助金支給をやめると言った橋下徹にぜひ読ませてやってほしいと思った。山上直子よ、新聞記者であれば単なる読書感想文を書いても存在意義はあるまい。それを枕にしてしっかり芸術に対する施策、政策について論ぜよ。論説なくして何の論説委員ぞ!

しかし、もしも芸事に特化して書こうとするにしても、まだかなりの修業がいるだろう。手本はある、それも産経新聞に。山上直子の大阪特派員に対峙する東京特派員、湯浅博である。例えば910日の「浮名ばかりは盗めない」を読んでごらんなあ。この差は大きいぞ、湯浅博の背中も見えめえに。10年修行してもこの域に達することが出来ようか。文章の奥は深い。まずは自らの作品を見つめ直すことだろう。

私は文楽を好んで見に行くことはしないが、文楽の奥深さはよくわかる。文楽関係の皆さんのご健勝と、文楽の継承を祈っている。そして山上直子の筆力の向上も。

 


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