映画「明治天皇と日露大戦争」の当時から成長しないのかな

現代の若者はもうそんな映画があったことも知るまい。嵐寛寿郎が明治天皇役で主演した、日露戦争の開戦前から、仁川上陸、旅順港封塞、黄海の海戦、203高地攻略戦、奉天への入場、日本海海戦の勝利までを描いた大作である。

私はこの映画を映画館で見たことはない。子供の時は貧しく、そもそも映画というものをほとんど見たことがなかった。この映画も中学生の頃にテレビで見たのである。

近衛の将校であった父の教育の影響もあったのだろう、この映画にはとても感動し、いくつかの場面では、ジーンと感じ、手を握りしめ、こみ上げる涙をこらえた。今思うに憂国青年だったのである。

しかし、年長じ、内外の書を読み、学問をするに従い、あれは明治以来の尊王報国思想の刷り込みを受けた結果の感激だったことに気づいた。

さて、814日の産経新聞の「正論」欄には「令和の8月に思う 戦後封印された「鎮魂曲」復活を」というお馴染み、新保裕司の一文が掲載されている。前回も指摘したが新保裕司の肩書から都留文科大学副学長が消えている。名乗ってはまずいと感じる人が増えたのだろうか。

この「正論」で新保裕司は映画「戦艦大和の最期」に大きく感動し、特にラストシーンに流れる「海ゆかば」に対する思い入れが激しく、815日の全国戦没者追悼式の開式の前にこの鎮魂歌たる「海ゆかば」を流すべき云々と書いている。

だが歌詞を見てみよ。

「海ゆかば みずく屍 山ゆかば 草むす屍 大君の 辺にこそ死なめ かへりみはせじ」

これは『萬葉集』にある大伴家持の「陸奥国に金を出す詔書を賀す歌一首、并せて短歌」の一部である。

これのどこが鎮魂歌なのだ。日本語すら理解していないのではないか。そしてこの歌が自由に使われた時が何故独立自尊が「回復」された時なのか。新保裕司の独立自尊とは随分低レベルの独立自尊であることよ。

私もかつての憂国青年、そのような映画、音楽に心が揺さぶられた記憶がある。しかし私はその段階を超え、成長した。この新保裕司の文章からは、未学の状態での感激のレベルが副学長となった今も続いているように感じる。大丈夫なのか?都留文科大学。

それにしても、こんなのが産経新聞では「正論」なのかえ?編集長の知性と学識を疑う。勿論メダカの大学とイルカの大学では副学長のレベルが異なることは承知してはいるけれど。大学で、本当にこんな内容を“教えて”いるのだろうか。別の憂国の心を禁じ得ない。

 


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