ザ ホルムズ! (1)石油の異常な中東依存

産経新聞(7月7日)の日曜経済講座の題は「緊迫化するホルムズ海峡」という。その中に、

「エネルギーをめぐる中東依存度の引き下げも大きな課題である。第一次石油危機時に78%だった石油の中東依存度は昨年度には88%と当時を上回る水準にある。日本が輸入する8割強、液化天然ガス(LNG)の20%以上がホルムズ海峡を経由して運ばれており、その調達先の多様化が不可欠だ」

という部分がある。

その石油危機時点で既に当時の通産省と石油開発公団は石油の中東依存度を減らす方針を掲げていた。45年以上も経って、それが逆に増えてしまっているのである。世界の石油開発業界で実績のほとんどない日本の石油開発会社に中東以外に進出させる、すなわち新しいプロジェクトを立ち上げさせようとして、石油開発公団は産油国との間の石油開発権益にかかわる契約を一般的なものよりぐっと産油国有利なものとしたのである。

例えば、融資買油方式というものがある。実際にその契約方式はペルー、サハリン(SODECO)、インドネシア(INOCO)で使われた。例えばサハリンではリスクマネーをソ連に貸し、成功した場合には生産した石油を相場よりわずかに安く購入する権利を持つといういわば”情けない”契約内容であった。さらに一定額までしか割引がないという、石油開発とは思えぬものだった。日本(石油開発公団)は世界の石油開発契約を不利な方にゆがめてしまったのである。

この契約方式の”異次元のひどさ”は、それを推し進めていた石油開発公団のM理事が、サハリン型から一定額頭打ちを外した契約方式とした日中石油に天下ったことからもわかるのである。何しろこのM理事はサハリンプロジェクトに副社長で天下ることが内定していたというのだから。

また、石油開発公団は現在でも商業性などなく、止めるに止められずのお荷物となっているカナダオイルサンド事業を無理やりに始めてしまった。石油開発公団は、石油公団に代わったが、結局成果がなく巨額の税金の無駄遣いの挙句廃止となった。

つまり通産省(現経済産業省)が世界の石油開発業界のルールを壊して税金を使っただけで、石油の中東依存度など減らせなかったのである。同様のことはメタンハイドレート関係などで現在も繰り返されている。

つまりホルムズ海峡の問題はある意味で経済産業省の先見性のなさ、裏に隠れた目的への固執、大いなる失敗の結果のなせるものと言えるのである。

そして中東の油田で日本企業がオペレーターとなって開発した油田などほんの僅かだろう。ほとんどが権益の一部を買ってノンオペレーターとして、生産した石油を権益に応じて引き取っているに過ぎない。自主開発原油とは名ばかり、実質は石油を買っているに等しい。

その点からは「石油開発公団」との看板とは裏腹に「石油利権購入公団」だったと言えようか。基本的方針が誤りだったのである。

日本への石油の8割がホルムズ海峡を通る、と当たり前のように思わずに、なぜその状況が半世紀も続いているのか、なぜ経済産業省は莫大な税金を使ったのにそれを改善できなかったのかを考えなければ、そして厳しく追及しなければ、解決できる頭脳を導入しなければ、これからもこの状態が続くことになる。できないものに任せ続けるのは国民に対する背任ではないか。

 


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