河北新報の「河北春秋」の内容に疑問

仙台で新聞と言えば、それは河北新報を一般的に示す。戊辰の役の時に薩長の軍が「白河以北一山百文」と蔑みの言葉を吐いたことを忘るべからずと肝に銘ずるために新聞名としたという歴史のあるものだ。いわば東北版「臥薪嘗胆」の語のごときものか。

この河北新報に、朝日新聞の天声人語、産経新聞の産経抄のようなコラムがある。名を「河北春秋」と言う。話は少し古くなるが、7月6日のその河北春秋の冒頭を示そう。

「古代人は物々交換でほしいものを手に入れた。やがて貨幣が介在するようになり、日本では明治になって紙幣が流通するようになった」

この考え方は、古代の人ほどプリミティブな生活システムの中にあったとの先入観から生まれたものだ。例えば日本の縄文時代、関東の山の高所から採取された黒曜石が、また伊豆七島から採取された黒曜石が石器の材料として数百キロも離れたところまで運ばれていたことが分かっている。どうやら黒曜石の採取集団が組織化されて専門的職業として存在し、黒曜石の流通機構も存在していたようなのだ。本庶先生ではないが、教科書を鵜呑みになどすべきではない。西洋の歴史に青銅器時代があるから日本にもあるはずだと主張した輩と同様に自分の頭で考えることをしていないかのようだ(拙著『太安万侶の暗号(ゼロ)〜日本の黎明、縄文ユートピア〜』参照)

紙幣についても知識が不足ではないか。江戸時代中葉から仙台藩では金10万両を限度に藩札を作り流通させていた。河北新報の記事だけに地元の歴史に知識のないのが悲しい。「河北」の名が泣いているようだ。この藩札については小野清著『徳川制度史料』(『史料 徳川幕府の制度』として人物往来社から復刻版が出版されている)に詳しく記述されている。

自紙の看板コラムならそれなりに注意を払って書いてほしいものである。がっかり!

 


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