「日米安保破棄」に備えよ、との題だが結局は選挙のための共産党批判、そして…

産経新聞(7月1日)の櫻井よしこのコラム「美しき勁き国へ」の記事「『日米安保破棄』に備えよ」は一読の価値がある。内容が素晴らしいというのではなく、内容をすり替えていく様子が興味深いのと、櫻井よしこの思考の程度が理解できるのと、どうやら原稿ライターの存在が垣間見えるからである。まず、櫻井よしこの記事内容を以下でご覧いただきたい。

https://www.sankei.com/column/news/190701/clm1907010005-n1.html

櫻井よしこは、阿比留瑠比が発言の存在さえ疑ったトランプ大統領の日米安保破棄発言も事実に含めて関連する3度の発言から、今すぐ日米安保の破棄はないだろうが将来そうなる可能性があると指摘したうえでそれに備えるべきだと説く。そしてそのために第一に取り組むべきは憲法改正であると主張する。

憲法で敵ミサイルを打ち落とせるわけではないが、どうしても憲法改正が先だというならそれでもいいだろう。(本当は、ずっと長い間憲法違反で自衛隊という軍を保持してきたのだからそんなに憲法にこだわらなくてもよいと感じるのだが)

しかしちょっと待て。安倍晋三首相の個人的意見に引っ張られて、9条に自衛隊保持を追記するなんて改憲案を自民党が示しているが、それは日米安保条約が有効で、日本が米国の核の傘で守られている状態にあるとの条件の下での案であろう?日米安保条約破棄に備えるならば、米国の核の傘がない場合を想定した憲法でなくてはなるまい。そうであれば、9条を全面改訂し、「領土と国民とその財産を守るために核兵器を含む戦力を保持する」旨のものにしなければならない。ただ改憲が必要不可欠だ、などと騒ぐだけでは思慮が欠落していると断じられよう。

更にその後がいけない。自衛隊をなくそう、天皇制廃止をもくろむ共産党が良くないなどと共産党の悪口ばかり。国会での改憲勢力が三分の二を超えるのであれば共産党云々など言わずにさっさと改憲に向かえばよいではないか。そうしないところからは、この文章は安保破棄問題に名を借りて、参院選挙対策として共産党の悪口を言うのが目的だったと読めた。手法が何ともあざとく見える。

いまひとつこの記事から見えることがある。どうやら原稿書きの下請けを櫻井よしこは使っているようなのだ。

「G20で米中はつかの間の休戦を演出したが、それが安定した国際秩序の構築につながる保証はない。中国が大量の米国産農産物を買い付け、米国は思いがけずファーウェイへの輸出再開を約した」

外国生まれとはいえ、日本人で、高齢者で、識者であればこんな日本語は使うまい。中国が大量の米国産農産物を買い付けると言ったら米国がファーウェイへの輸出再開を約したというときに「思いがけず」などと表現するのは明らかな間違いであり、おそらくはゆとり教育世代の出来損ないが書いたのであろう。どうせ書くなら、「中国が大量の米国農産物を買い付けると、『思いがけず』聞いた米国は、ファーウェイへの輸出再開を『つい』約してしまった」くらいではないか。

図らずも、大したことのない下請けライターの存在が垣間見えてしまったというところか。他人に書かせた原稿を自分の名前で発表するときはもっと慎重にチェックすべきだと思うよ、櫻井さん。

この櫻井よしこのコラムの直下に産経抄があるのだが、その末尾の文章が興味深い。それは、

「冗談はさておき、トランプ米大統領がつぶやいたツイッターの一言で、米朝首脳会談が実現する時代である。政治家にとってたった一言が、得点にも命取りにもなる。首相には、良きスピーチライターを雇うことをぜひお勧めする」

というものである。安倍首相も、櫻井よしこもいまいちの周辺に囲まれているということなのだろう。それにしても、学生が研究し、書いた論文を取り上げて自分の論文として発表するなんてことはすべきではない。自分の頭でものを考え、纏めないから支離滅裂な政策が次々に現れるのだ。

 


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