「小さな親切大きなお世話」が突如復活?亡霊のような…

6月23日、産経新聞を朝一番に開いてみて驚いた。大分前に「今回で終了です」とあったきり当然ながら見かけなかった曽野綾子の「小さな親切 大きなお世話」なるコラムが2面に掲載されていたのである。なんと面妖な、と感じたのだが、そのタイトルを見て理解できた。タイトルは「『2000万円』も不要な老後」というものなのである。

終了したコラムを、これを書きたいからどうしても、一回でいいからコラムを復活してくださいと頼むような内容ではないのは自明だろう。書いてくれと言われたに違いないと感じる。誰に?勿論産経新聞に、である、表向きは。

金融庁が、貯蓄ではなく投資を国民にさせようと、おっと、その目的は銀行・証券会社の仕事づくりだろうが、その理由に、老後の生活には現行の年金では2000万円不足ですよと金融審議会のワーキンググループ報告書案を作り発表した。高齢者だけでなく若年者にまで大きなショックを与えたのである。実質賃金は年々低下し、年金も年々低下する中で、物価上昇を政策に掲げる安倍政権の動向を見ていればただでさえ生活不安は増すのに、現行の年金制度上でも2000万円の不足とはそれが平均値であっても衝撃だったのである。まさか究極の”投資先”であるカジノに国民を誘導しているわけでもあるまいが、国民はより財布のひもを締めるのが確実であろう。この問題で政府は金融庁の報告書自体を無きものとした。そのドタバタぶりに、国民はますます政府の言葉を信じなくなった。

さて、火消しに躍起になる安倍政権は影響力を総動員して老後は安心との印象を持たせようとしている。勿論選挙への影響を考えてのことであろう。そこにこの曽野綾子の『小さな親切大きなお世話』の特別出演が出てきたのである。影()の依頼者は安倍官邸なのではないか。

だが、コラムの内容は全く迫力がなく、説得力もない。どうでもよいような話が書いてあるだけだ。頼まれた曽野綾子も気が乗らなかったのだろうと感じた。

故三浦朱門であれば、衣装も150年分持ってるし、老後には100万円もあれば余るほどだと書いているのである。国民一般に対して老後資金不要を説くには例として全くふさわしくない。衣装を150年分持つだけでなくそれを保管できるだけのスペースを持つというところからだけでも資産を相当持っていると思われ、また著名作家であれば年金以外に印税収入もあろう。これをもって一般国民に安心せよとなど言えるわけがない。

末尾部分では、

「老年に2000万円貯金がなくても、飢え死にする人はないだろう。人間の心というものは、すばらしい柔軟性を持っていて、そういう不運な人が身近にいれば、だれでもおにぎり一個差し出すものなのだ」

と書いている。金融庁の報告書で2000万円不足するとしたのは日本人の高齢者家庭の「平均」の話である。決して「そういう不運な人」の話ではない。状況が理解できていないのではないか。大勢の豊かな人たちの中にほんのわずかな、不運にも貧乏な人がいれば、それを助けようとする人もいるだろうが、多くが生きるのに困っている場合に助けることなどするだろうか。困窮が深まるほど自分ファーストが強まるものである。それを超えるには武士道なり強い宗教心なりが必要だが、その双方とも現代の日本人は持たないのがほとんどであろう。

この曽野綾子のコラムを読めば、ますます老後が不安になるだろう。火消には逆効果だと感じた。知恵のないものが知恵者ぶってしくじりをしているように見える。

 


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