安倍晋三首相の対イラン、メッセンジャー外交

竹島に関しては『腫物には触れない外交』を基本とする安倍晋三首相の外交態度を貫いている。何もできないというのが実体だがそうは言わないでおこう。北方領土も国民の同意も得ずして93%を放棄してたったの7%にしか過ぎない小島の返還で手を打とうと、ロシアにほぼ全面降伏をしたのだが、それすら馬鹿にされていて進展の見込みなしだ。ロシア人は安易な妥協をする人間を信用しない(経験から)。勿論尖閣は、毎日、連日、長期間領海侵犯されているのに『日中関係は完全に正常』などと嘘をついて中国にすり寄る始末である。外交の安倍などではなくよく言っても『軟弱外交の安倍』、普通に言えば『亡国外交の安倍』といったところだろう。

しかしこの状態のままでは「無能外交」のそしりを受け、来る夏の参院選に影響するので何とか点数稼ぎをしたいとして計画したのが米国とイランが今や敵対しているのを利用しての仲介外交だったとみる。日本では「トランプ大統領に依頼されて…」などと提灯新聞に書かせて、さも「米国大統領までもが仲介を頼んでくる外交に長けた安倍晋三」のイメージを演出したのだが、実際は日米首脳会談の折に、選挙対策にしたいからぜひトランプ大統領から頼んだことにしてくれとお願いしたのだろう。その折の大量の米国製武器購入の約束がその対価だとみても良いのではないか。その実態は「中東でまったく通用しなかった日本の「架け橋外交」」と題する古森義久の記事(msnニュース、6月19日)の中でのウォールストリートジャーナル(6月14日)の引用文(和訳文)「安倍首相はトランプ大統領の同意を得て、日本の歴代政治指導者が避けてきた中東紛争の緊張緩和工作という領域に足を踏み入れた。安倍氏の動きには、外交面での成果をあげて、来るべき国内の議会選挙で有利な結果を生もうという意図も伺えた」というもの、特に『トランプ大統領の同意を得て』との部分から明らかであろう。決して依頼を受けての外交などではないのである。かつて中東和平に尽力した第三国の指導者がノーベル平和賞を受賞したことも念頭にあったのかもしれない。同引用文にはこうもある。「安倍首相はあくまで中立の調停者として振舞ったが、イラン側のメディアは、安倍首相とトランプ大統領の親密な関係や日本の米国との軍事同盟について詳しく報道し、安倍首相は結局米国側に立っているのだという構図を強調した」

日本のメディアは安倍官邸の意向を忖度したのか指導を受けたのか(中共みたい)、イラン側の歓待の様子をテレビ画面に映し出していた。しかしその訪問中に日本のタンカーに攻撃があった。一見矛盾するイランの行動だが、実は矛盾などしていない。

歓待は、長年イラン原油を輸入してくれている日本、そして種々の投資や、金銭的援助をしてくれる日本に対しての取り扱いであり、タンカーへの攻撃は米国のメッセンジャーボーイとしてなど来るな、とのメッセージなのである。ましてや選挙対策のためのイメージ作りなどで、米国とイランとの両国に対等外交をしてなどいないくせに仲介などと口幅ったいことを抜かすなとの怒りの発露だった可能性が高いのである。

このイラン訪問に関し6月14日の産経新聞の主張(社説)は冒頭で、

「振り上げた拳を下ろせぬ米国とイランの間に割って入り、ぶつかり合いを押しとどめる。その役割がイラン側からも託されたと言えよう」

と頓珍漢にして素っ頓狂なことを書いている。後段の、

「両国と良好な関係を保つ日本がこの「歯止め」として存在…」

と書き、安倍政権の米国(トランプ大統領)べったりな関係、特に政治的なイエスマンであることを隠そうとする表現に、産経新聞の特段の意図を持った記事だとの感を強くした。

この安倍晋三首相のイラン訪問についての山内昌之の「歴史の交差点」(6月17日)の冒頭は、

「好事魔多しとでも言うのだろうか。それとも、いきなり冷や水を浴びせられたと形容すべきなのだろうか。イラン訪問中の安倍晋三首相は、イラン首脳と対話を進めている折も折、日本の海運会社によって運航されるタンカーが正体不明の勢力から攻撃を受けて、日本の力の限界を感じたかもしれない」

である。さらに、

「タンカー事件とハメネイ師の発言に因果関係があるか否か、にわかに断定しがたいが、日本にとって大きな教訓を得たことだけは間違いない。それは、イランが親日国であるとか、安倍首相が個人的にイランに思い入れがあるという主観的な親イラン感情の評価とは別に、イランの指導者らは日本が米国最大の同盟国であることを正確に重視した事実である」

と書く。紛争の仲介者が相手方のベッタリ従者ではもとより相手にするものなどいまい。

イランは安倍官邸の意向を忖度などしてはくれないのである。

 


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