「メディアの矜持」「見損なわないで」との産経新聞の主張(社説)、その意気や良し、だが

67日の産経新聞の「主張」には嫌に力が入っている。産経新聞への個別批判を国連人権理事会から受けたわけでもないのに過剰反応をしているようだ。人は一般論としてであっても自身の弱点を指摘されると異常に攻撃的な弁明をしてしまうもの、企業も人間が構成要素である以上その性向から逃れられないということなのかもしれない。

「言論と表現の自由に関する国連の特別報告者、デービッド・ケイ氏が、日本では現在もメディアの独立性に懸念が残るとする報告書をまとめ、24日に開会する国連人権理事会に提出する見通しだ」

と、ことの発端が書いてある。そして、

「ケイ氏は16年に来日した際、外国人特派員協会で会見し、「政府の圧力で日本のメディアが萎縮している」「多くのジャーナリストが匿名を条件に、政治家から間接的なプレッシャーを受けていると話した」などと述べた」

と、何故か、奇妙なことに2016年のことを持ち出して反論に入るのである。いわく、

「だが当時も現在も、日々の各紙には政権批判の記事があふれ、テレビではさまざまな立場のコメンテーターが自説を述べている。政府の圧力があったとして、それで本当に報道が萎縮するのか。日本のメディアはそれほど情けないか。不当な圧力があれば、むしろ各紙、各局は、張り切って取材し、報じるだろう。それがメディアの矜持(きょうじ)である。見損なわないでいただきたい」

と、怒髪天を衝くかの如き怒りだ。しかし「当時も現在も、日々の各紙には政権批判の記事があふれ」とここは「各紙」としている。それは産経新聞自身には政権批判など“希”だからではないのか。阿比留瑠比の安倍政権擁護一辺倒の記事、政府発表の論評抜き、考察抜きの垂れ流し記事、安倍政権よりのメンバーを主体にした「正論」執筆者選びなど、産経新聞の「親安倍政権性」は随所に見える。逆にそうであるからこそこれほど力んだのかもしれない。産経新聞の中でも「主張」執筆陣はその記事内容から正当な新聞記者であると推察できるからだ。

しかし最後がいけない。

「国連自体の人権意識にも問題はある。発生から30年を迎えた中国の天安門事件に関し、ドゥジャリク事務総長報道官は「特にコメントはない」と述べた。最大級の人権問題に沈黙する組織に、どんな価値があるというのだろう」

これは反語形の表現だ。「国連にどんな価値があるのだろう、何の価値もありゃしない」といいたいのだと思う。そう思ってもよいのだが、政権批判もさしてしない産経新聞だけに、それだから国連にはこう対応すべきだ、との意見(主張)を延べないのである。こぶしを振り上げるならそれなりの覚悟を持ってすべきだろう。主張の言う無用な国連の決議、に基づいた軍事行動を認めることの多いのが産経新聞である。「一国二制度」ならぬ、「一社二基準」に見えてしまう。産経新聞たるものも、冷静さを失っては説得力が欠けてしまうぞ。

 


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