老後の生活に不足する2,000万円を投資で稼げ、そりゃ銀行・証券会社救済のための提言だろう(2)

この報告書にはいろいろ提言というものが書いてあるのだが、「現役期」には例えば、「生活資金やいざというときに備えた資金については元本の保証されて いる預貯金等により確保しつつ、将来に向けて少額からでも長期・積立・分散投資による資産形成を行う」ことを提案、「リタイヤ前後期」には例えば「長い人生を見据えた、中長期的な資産運用の継続(長期・積立・分散 投資等)とその後の計画的な取崩しを実行する」と提言し、「高齢期」には例えば「心身の衰えを見据えてマネープランを見直す(医療費、老人ホーム入 居費等)。認知・判断能力の低下や喪失に備え、取引関係の簡素化など心身の衰 えに応じた対応をしやすくする」を提言している。

長期的・分散型・投資での例示としてこんなことを書いている。

「仮に、月に 5,000 円、年6万円の少額拠出であっても、30 年拠出し続ければ(総拠出額 180 万円) 、全期間において年2%の利回りを想定すると、246 万円となる。ここで確認しておく点は、上のシミュレーションで確認したように市況は短期的に変動しうるが、長期的に見ればリスク・リターンのバラつきは収束することである。また、年2%の利回りを想定したが、これが仮に1%だと 209 万円まで減少する。利回りの減少に影響を与える要因として、市況以外には信託報酬等の恒常的な手数料があげられる。この手数料の高低が長期投資においてはその果実に大きく影響を与えることはよく認識しておく必要がある」

重要な点がある。投資にはリスクがあるが、長期的に見ればリスク・リターンのばらつきは収束するとしている。ギャンブラーズ・ルーインの法則を思い出させるではないか。長期的、例えば30年間投資資金を取り崩す必要がないものなどはごく少数だという現実を無視している。国民の大多数は貧乏なのであり、それゆえに資産形成がなければ老後が生活できないのではなかったか。

毎月5,000円を投資し、利回りが1%なら30年後には209万円になるという。こんな例では月額5万円の不足が埋められるわけがない。2,000万円を作るには毎月5万円ずつ投資して30年かかるのである。手にするのは2,000万円としても、そのうちの元本は1,800万円である。投資で老後用の資産ができるという話そのものが虚構である。金融審議会おすすめの投資をしなければ、すなわちタンス積み立てをすれば、リスクなしで1,800万円はできるのである。どちらがマシかは自明であろう。

また、話の前提は65歳からの生活で毎月5万円の家計不足が出るというものだった。2,000万円を取り崩してその不足に充当するのであれば、不足が始まる前にその2,000万円を用意しなければならない。ということは、65歳になる30年前、つまり35歳の時から毎月5万円を積み立て投資しなければならないことになる。アベノミクスは実質賃金の減少を継続的にもたらしている。国民の状況からはそのようなことができよう訳がない。欺瞞と屁理屈でこねて作った詐欺餅といったらよいか。立派な肩書の審議委員がこんなものをまとめるとは世も末の感がある。

非現実的例で国民をだますのは不届きだ。

ひと言でいえば、これは「証券屋のセールストーク」に似た全く信用ならないものだ。

国会で追及された麻生金融担当大臣(財務大臣)は「正式な報告書としては受け取らない」と611日の述べた。しかしこの報告書は金融審議会のワーキンググループの報告書である。内容によって大臣が正式な報告書として受け取ったり、受け取らなかったりを判断し、決めてよいものなら、金融審議会は大臣の意向・考えでコントロールされていることになる。それでは審議会ではあるまいに。金融庁では先に結論を与えたうえで審議させているのか?まるで「俺の政策の基礎データにならない統計などいらない、使える統計データを作れ!」と同じパターンに見えてしまうが。

平均的に2,000万円不足がその通りだとしても、リスクはあれど効果はわずかの投資(NISAなどを想定している)をせよと銀行・証券界への利益誘導を図るのではなく、選挙対策用に加工・粉飾された年金の実態を明らかにし、不足をいかに補うかを考えるのは政府の役目であろう。憲法改正や(ノーベル平和賞狙い?とも見える)中東和平への参加などよりはるかに重要な問題なのである。

(余りに馬鹿げた報告書の内容だったので、自分の計算が間違いかと心配になる)


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