竹中平蔵の「正論」のゴチャゴチャ

竹中平蔵と言えば水道事業民営化の裏にその姿が垣間見えたり、法人税減税の奇妙な経済効果を新聞に書いたりととかく裏での行動が気になる人である。政策への影響力が強い人なのだがその書いたもの(新聞)を読む限り、緻密な論理は見えず、誤りも多いようだ。

さて産経新聞(4月22日)の「正論」欄に「スーパー・シティを「橋頭堡」に」との題で寄稿している。冒頭はこうだ。

「4月17日の国家戦略特区諮問会議で、いわゆる「スーパー・シティ」の制度の概要が決定された。これを実行に移すことは、令和時代の日本にとって大きな意義がある。スーパー・シティは、経済・政治の両面で、日本の“橋頭堡(きょうとうほ)(ブリッジヘッド)”となる」

そして「橋頭堡」の意味について、

「橋頭堡とは、不利な地理的条件の下で戦闘を有利に運ぶための前線基地を意味する」

と説明しているのだが、ちょっと意味を取り違えているようだ。

「不利な地理的条件」ではなく「敵軍の支配地域という不利な軍事的条件」なのである。川を挟んで敵味方が対峙している場合。そこにかかる橋をどちらが軍事的に支配するかは全体の戦局を左右する重大事である。それゆえ、橋の対岸側、すなわち敵地側に軍事拠点を構築できるかどうかが重要になる。だから橋頭堡(Bridge Head)なのではないか。

竹中は、第4次産業革命を体現した都市、「スーパーシティ」の建設が中国の杭州、ドバイ、トロントで始まっているが、王政や国家資本主義の下では進捗が著しいが民主主義の下では住民の声が大きいだけにはかどらない点を挙げ、王政・国家資本主義と民主主義の国が対峙していると説明する。さらにこの関係がアメリカ型資本主義と中国型国家資本主義の対立激化を生んでいるとする。そして次のように指摘する。

「民主主義国日本で、住民合意を前提に、地域の意思で大胆に規制改革を進める仕組みができれば、他国にも大きなインパクトを持とう。これはいわば民主主義国としての橋頭堡であり、国家資本主義に対する反撃とも言える」

竹中得意の論理飛躍が出た!幾つも問題がある。

第一に、例示したスーパーシティ建設事例では、杭州にアリババ、トロントにグーグルという主体となる巨大IT 企業が存在するが日本の場合はない。水道事業民営化の時と同じようにすでに担当させたい巨大IT 企業が“頭”にあるのだろうか。

第二に、規制改革を進める仕組みができれば、と言うのだが、特区を前提にし、所管省庁に拒否権を持たせるというのだから、役所に新たな権限を持たせることになる。さらに加計問題での場合と同様に担当省庁に”忖度”を指示する官邸の力が恣意的に及ぶ可能性もある。我々はこういう特区とか、特別なシステムというものが不正の温床であることを学んだはずだ。

第三に、日本にスーパーシティができたとしてどうしてそれが(中国を指すとみられる)国家資本主義に対する橋頭堡なのだ??こんなものは「橋頭堡」と言うに値しないのではないか。

第四に、「民主主義国家日本で」と言うけれど、民主主義国家アメリカなら、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンと巨大IT 企業が既に存在する。日本でできる住民合意システムなどアメリカでできないわけがない。そうであれば、民主主義国日本が国家資本主義中国に対するなどと大上段に構えた”橋頭堡”など構築する意義はないだろう。まことしやかな表面的な説明の裏側にもっと醜怪なる企てがあるように思える。

全体を通じて、何か全く別の目的(思惑)があってスーパーシティに力を入れているとしか思えなかった。要注意である。やはり巷間ささやかれるような方なのかもしれないと感じた。

 


コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< July 2019 >>

にほんブログ村

selected entries

archives

recent comment

  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(88)人事考課を書き換えさせた石油資源開発人事部
    名無し (10/15)
  • 国際石油開発帝石(インペックス)は経営行き詰まりなのか?それを暗示する現象(2)
    名無し (08/20)
  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(132)ホテル代の踏み倒し
    No use (07/25)
  • 論理の誤り―纏向遺跡と桃の実の年代
    No use (07/24)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    No use (07/24)
  • 『人麻呂の暗号と偽史『日本書紀』〜萬葉集といろは歌に込められた呪いの言葉〜』を電子出版化した
    ふひと (07/11)
  • 国際石油開発帝石のイクシスプロジェクトは「大失敗」?!
    高松 和弘 (06/27)
  • 起きる確率の高い南海トラフ地震の被害額が1,400兆円以上と言うなら
    toshi (06/14)
  • 決裁文書の事後改竄は単なる文書管理の問題ではない
    giinnokoe (06/01)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    名無し (05/28)

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM