偏っていないか、長谷川三千子?

産経新聞(4月24日)の「正論」欄には長谷川三千子の「『時の力』としての改元を寿ぐ」というものが載っている。一読して知識の浅さに気が付くとともに意見が偏っているように感じた。そこでウィキペディアを見てみれば、この方は日本会議の代表委員だとある。日本会議と言えば安倍晋三首相が以前会長を務めていた、成長の家を母体とするような宗教色の強いものだったようだ。考えに偏りが見受けられるのも当然かと感じた。また長谷川三千子は、安倍晋三の首相再任を要望し、2012年には「2012年安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」の代表幹事として名を連ねた人物だとか。安倍晋三に近い人物なら必ず政府関係にポストを得ているはずだとさらにwikiを読めば、やはりというか「NHKの経営委員」をしていた。ここまでわかれば、明治政府作成の皇室制度万歳の人だと見当がついたがその通りのようだ。「訳の分からない言葉と用法で理解しにくくしている」と言われる”哲学者”らしく、この記事も”つまらない”し“”浅い“感じのものである。少しコメントをしておく。

「(そもそも時とはいったい何なのか)これが難問になってしまうのはこの問いをなにか抽象的に自分とかけ離れたところで問おうとするときです。われわれは、いつでも時を体験しながら生きている。その体験を見つめることの中からしか、「時とは何なのか」の答えは得られないのです。たとえば、われわれは現に元号による時の区切りをもっている。そこにはどういう時の体験のかたちがあるのか、と見つめ直すところから、われわれなりの答えをさぐるほかありません」

ふ、ふ、ふ、こんなことを言う哲学なるもので飯が食えるとは…日本は衰退するわけだ。文科系不要論がもっともに感じてしまう。「元号による時の区切り」??、それは我々が持っているのではなく、政府と言うものが単にここにすると決めて押し付けているものだろう。それは本当の意味では「時の区切り」などではない。それは「時を区切りたい人が」「時が区切れたように」「国民に感じさせる」ための「一種の洗脳」のようなものではないか。

「「次に国稚(くにわか)く浮きし脂(あぶら)の如(ごと)くして、海月(くらげ)なす漂(ただよ)へる時、葦牙(あしかび)の如く萌え騰(あが)る物によりて成れる神」宇摩志阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)などは、時の生成力そのものを体現した神とすら感じられます。かつて丸山真男氏が『古事記』のこうした記述を評して「つぎつぎになりゆくいきほひ」と述べたのは、まさに本質をついた至言だと思います」

『古事記』が分かっていないようだ。どうしてそれが「時の生成力そのものを体現した神」と感じられるのか。一個人の感想で一般解とするのは誤りだろう。まして自分の感触に近いことを本に書いた例をもって自分の見解のつっかえ棒とするのは出来の悪い学者に特徴的なものである。もっと問題なのは、

「元旦に、宮中三殿(賢所(かしこどころ)、皇霊殿、神殿)では、天皇陛下と皇太子殿下が歳旦祭(さいたんさい)を営まれます。これは、皇祖皇宗に旧年の神恩への感謝をささげ、新年の国家隆盛と国民の安寧を祈られる重要な祭祀(さいし)です。そして、全国各地の神社でも、同じく歳旦祭が営まれる。つまりこのように、毎年新しい年がめぐり来るたびに、われわれは『古事記』の昔からの〈時の体験のかたち〉を、国を挙げて生き生きと再現しているわけなのです」

という部分だ。中世にはすたれてしまっていた神祇官なるものを復興したのは慶応4年4月21日に古代の律令制に基づく政体書の公布、太政官制の施行である。そして、翌明治2年(1969年)6月に太政官から神祇官は独立した。すなわち古代から連綿と継続してきたものではない。そして、宮中三殿なるものもこの明治に復興した神祇官が明治4年に「創建」したものである。ウィキペディアには「宮中三殿の祭祀は、明治維新から宮中祭祀の変遷と漸次的集約を経て、教部省が成立した直後の明治542日(187258日)に整ったと解されている」とある。前にも書いたが神武天皇陵も橿原神宮も明治時代に創建されたものだ。明治時代にできたものを古代からあったかのごとくいうのは正しくない。やはり恣意的な記述が多いように感じる。

新年に時を感じるのは、一年という天文学的事象に基づくもの(冬至など)であり、元号の区切りと言う人為的なものとはその性格を大きく異にするものだ。今日巨の一般参賀と一緒くたに考えるのは異常に感じる。

こういう人がNHK経営委員をしているのかと知り、勉強になった。

 


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