語るに落ちるとはこれか?櫻井よしこの「令和」

「令和」と言う元号を安倍晋三首相が決定し、5月1日から新天皇となり、新しい「時代」が始まったとメディアと政府が騒ぐ。しかし5月1日の新聞には「令和新元号セール、新天皇即位セール」の広告が大量に入るのかと思えば、そんなもの一枚も来ない。ははあ、やはり政府によってつくられたものかと感じた。

その5月1日、産経新聞の一面に櫻井よしこの一文が載った。「令和に寄せて 麗しき大和の国柄を守れ」と題するものである。この方は、自らの団体名を大仰な「国家基本問題研究所」と名付けるほどだからもちろん自己顕示欲の強い人である。その割には基礎知識には乏しい面が隠せない。自己顕示欲と言えば、聖徳太子が編纂したという『国記』を連想させる『日本国記』と著書に名付ける身の程知らずもいるが…

倭国が日本と改名したのは670年のことである。すなわち、以来1,350年ほど日本の国名は日本である。その正邪、善悪は別としてそれが歴史である。平成を令和と替えた意義を思えば、その元号を替えた時に、「日本の国柄」と言わずに「大和の国柄」と敢えて用いる櫻井よしこに知性、理性の歪みを見るのは一人筆者のみではあるまい。

さて冒頭櫻井よしこは、

「日本よ、麗しき善き大和の国であれとの願いを込めた「令和」の時代が始まった」

と書いている。「令和」の意味するところに関しいろいろな意見が飛び交った。私は当ブログで、「和せしむ」であろうと書いた。海外でもそのように伝えられて困った政府は外務省に「令和」は「Beautiful Harmony」だと発信させた。櫻井よしこは、「麗しき善き」は外務省と似た解釈であるが、「和」は『ハーモニー」などではなく「大和の和』であるとしているのである。ふ、ふ、ふ

続く文は、

「十七条憲法の精神を引き継ぐとされる元号、令和の時代の課題は聖徳太子が脱中華と大和の国造りを目指したように、日本の国柄を誇りをもって定着させることである」

である。「十七条憲法の精神を引き継ぐとされる元号」(太字、下線は筆者)と櫻井よしこが書いているが誰がそんなことを言ったのか。火のないところに煙は立たず。

十七条憲法の第一はまさしく「和」について書いている。『日本書紀』を引用しよう。

 

一曰。以和爲貴、無忤爲宗。人皆有黨亦少達者、是以、或不順君父乍違于隣里。然、上和下睦諧於論事則事理自通、何事不成。

(読み下し)

一に曰く、和を以て貴しと為し、忤(さか)ふること無きを宗とせよ。人皆党(たむら)有り、また達(さと)れる者は少なし。或いは君父(くんぷ)に順(したがわ)ず、乍(また)隣里(りんり)に違う。然れども、上(かみ)和(やわら)ぎ下(しも)睦(むつ)びて、事を論(あげつら)うに諧(かな)うときは、すなわち事理おのずから通ず。何事か成らざらん。

 

というものだ。「以和爲貴だけでとどめてはならない。続く4文字まで含めて一つの文章なのである。すなわち「逆らう事なきを宗とせよ」と言っているのである。平たく言えば「イエスマンとして振舞え」「上の言うことに従え」と言っているのだ。その十七条憲法の精神を引き継ぐ「令和」が「美しいハーモニー」の意味ではないことは自明であろう。図らずも櫻井よしこと言う、安倍首相に極めて近い人のお代替わり、すなわち新元号となった当日の寄稿に「令和」の本当の意味と目的が、そしてそれを最終候補に加えるように指示し、それを決定した安倍晋三首相の心が読めるのである。

「これからの時代(令和の時代)は国民に言うことを聞かせるぞ」

との宣言が聞こえてくるようだ。

旧ソ連時代「我々にはイエスと言う自由がある」と自嘲気味に語ったロシア人たちを思い出す。

「零は足(和)しても引いても掛けても割ってもゼロである」

なお、聖徳太子は「脱中華」など目指していない。櫻井よしこは、中国、当時の隋に脱中華を目的として遣隋使を派遣したというのか?愚かなことを書くものだ。基礎知識のあるライターを使うべきではないか。知名度を利用して嘘を拡散するのは罪悪であろう。そして日本の基本問題の一つではないか。

 


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