論理力、考察力に不足が目立つ佐藤優らしい文章だ

産経新聞(4月21日)の佐藤優の「世界裏舞台」は種切れが隠せぬのか、その名には似つかわしくない「ブラック企業の見分け方」なる題だった。その内容は、失礼ながら思わず、ふ、ふ、ふ、と笑ってしまうようなものである。その論理力と考察力の不足は佐藤優に特徴的である。

転職に関する相談を受けた時に佐藤優は、

「『ブラック企業なのか、教育が厳しい会社なのかは、社会に出たばかりのあなたにはわからないよ。ただしブラック企業の見分け方はある』と言って、筆者の考えを伝える。自分が知っている会社の先輩を、入社5年目、10年目というように5年刻みで30年目までノートに書き出してみる。その上で、尊敬できる人がいるかどうか、よく考えてみる。尊敬できる人が1人もいない場合には、その企業や役所がブラックであるか、自分がその職場の文化に全く合わないので転職を考えた方がいい。1人だけでも尊敬できる先輩がいれば、その人をロールモデルにして頑張ることを勧める。」

といった対応をするのだそうだ。しかし、社会に出たばかりの新人に、知っている会社内の先輩を5年ごとに書き出してその中に尊敬できる人がいるかどうかなど判定できるのだろうか。尊敬できるかどうかなどかなりの年数観察しなければ分からないだろう。その点から、佐藤優のこの話は“作り話”だろうと判断できよう。

次には外務省で受けた語学(ロシア語)研修の話がくる。寮に泊まり込みで、午前中は文法の授業、午後3時までは会話のレッスン、そして宿題にかかる勉強時間が6時間で、それを10か月続けたのだそうだ。さて、佐藤優はそれに引き続いてこう語る。

「仮に、働き方改革に従って1日8時間以上はロシア語研修をしないという方針を貫く外務省研修生がいるとするならば、その人が実務に耐えるロシア語力を習得することは絶対にできない」

考察力の不足は明らかである。特に最後の「絶対にできない」と言い切るところが不思議だ。佐藤優の歴史(経験)では天才的能力のものが周囲にいなかったからそんなことを言うのではないだろうか。天才的でなくても10か月ではなく2年かければマスターできるのではないか。外務省に入る以前に十分な語学能力を持ったものだっているだろう。作家としてはやっていけるかもしれないが情報分析官としてはどうか、心配になるのだが(とうに辞めてはいるが)。

「尊敬する先輩が一人でもいるなら転職などするな」と外務省から転職した佐藤優が言うのにも多少の違和感がある。しかし、働き方改革で労働時間を制限する政策に反対するのは同感である。定形型の仕事しか思いつかない役人と政治家が考えたものだろう。

 


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