伊藤元重、この人の経済学は本当に「学」か?

経済学が本当に学問かと常々疑問に感じていたのだが、平成の世のアベノミクスなるものを、成果と言われるものの”粉飾表現”の奥・内実をじっと観察して、「こりゃ役立たず」だと思った。すでに竹中平蔵については何度かその嘘について指摘してきたが、今回は伊藤元重という東大の経済の元教授の主張について若干コメントしたい。まずは伊藤元重の経歴だが、ウィキペディアによれば、

1970年3月 静岡県立静岡高校卒業

1974年3月 東京大学経済学部卒業

1976年3月 東京大学大学院経済学研究科修士課程修了

1978年6月 東京大学大学院経済学研究科博士課程中退

1978年7月 ロチェスター大学大学院経済学部博士課程修了

そして、

1978年9月 ヒューストン大学経済学部助教授

とある。奇妙なことに気が付かないだろうか。1年以内に東大大学院の博士課程を修了できるのに、直前に博士課程を中退したのはかなり不思議なことだ。博士課程の中退は私の知る例では、博士課程は修了する見込みだが博士という学位取得の見込みのない場合に多いようだ。

不可解の2番目は、東大大学院の博士課程を中退した後わずか1か月後に、ロチェスター大学の博士課程修了とあることである。ロチェスター大学の「博士課程」は1か月もしないうちに終了できるものなのか。さらにその2か月後にはヒューストン大学の助教授になっているというのである。詳しい説明がなければ「???」という経歴であろう。単にウィキペディアの記述が不足しているだけなのだろうか。

その伊藤元重が4月9日の産経新聞の「日本の未来を考える」欄に「賃上げに消極的な企業」と題する一文を寄せている。これが東大の経済学の名誉教授の考察文か?と疑問に感じるものだ。日本経済の発展のためには賃上げが不可欠なのだが行われていないと嘆くようなものなのだが、検討していこう。

「日本の賃金の上昇スピードは鈍い」

スピードというものは高低で表現するものだが、それは置くとして、日本の賃金上昇が鈍いというのは名目賃金のことで、実質賃金は下がり続けているのである。

「(その背景にはいろいろあるが)より良い人材を確保しようという企業の意欲が弱いことが重要な要因であることは間違いない」

「夢」「生きがい」「個性とのマッチ」などの人間の精神性を取り込めずに金銭という損得勘定しか取り込めなかったような”経済学”者の判断だろうか。一般事務職の求人倍率が約0.3と言えば明らかに人余りである。賃金が上がるわけがない。人が足りない業種は限られている。また、昨今の一部上場企業の多くがデータ改ざん、検査不正などをしている点に注目すれば「より良い人」を求めているのではなく「より悪い人、ずるい人、悪知恵のある人」を求めているようにも見えるだろう。ゴーン追い落としに見える日産取締役たちの”悪さ“など象徴的ではないか。

「高齢化と人口減少が続く中では、人手不足が近い将来に解消する可能性は低い」

介護職や建設労働者のような3Kと呼ばれる厳しい仕事を日本人が敬遠するようになったのが人手不足の背景であろう。人間が不足しているとの一般化は誤りではないか。むしろ日本人を遊んで暮らすナマケモノにした政策に間違いのもとがあったのではないか。高校全入は今や大学全入に近づき、競争もさしてなく、大学生は遊び惚けているものが多い。本来高等教育に適性のあるものがそれほど多いわけがなく、大学教育が高等教育から中・下等教育に変貌してしまっているのである。より良い人材どころか、九九もできずに大学に入ったような低レベルの大卒があふれているのである。賃金でより良い人材を、というのは優秀な人材が存在するという前提条件の下でしか成立しないことではないのか。日本の労働人口ばかりを論じて、労働者の能力レベルの現状や変化を考慮しない言わば化石化した”経済学”では日本の現状分析も未来設計も不可能であろう。

人口減少は国民へのサービスコストも低下させるはずだ。人口に合わせた社会構造、システムに変化させるのが当然であって、人もいないところに体育館を建てるのに、それを担当する人がいない、といったようなバカげたことを考えるべきではない。

「より良い人材」と伊藤元重は言うのだが、そもそも「より良い人材」とは何を意味する?企業に発展させたい事業があり、それに必要な人材というのであれば理解できるが、現在の企業に新規事業を企画する能力があるのだろうか。アベノミクスの第三の矢という、成長戦略など政権6年を経ても何も出てこないではないか。それこそこの伊藤元重も政府の政策検討に参加してきたのではないだろうか。日本の産業をどうするのかの将来ビジョンすら示せない政府のもとでは、「より良い人材」の具備すべき資質、知識、能力などが定まらない。

長くなりすぎたのでこの辺りでやめにしよう。久しぶりに「空論らしき空論」に出会った。日本は滅びつつあるように感じる。

 


コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< May 2019 >>

にほんブログ村

selected entries

archives

recent comment

  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(88)人事考課を書き換えさせた石油資源開発人事部
    名無し (10/15)
  • 国際石油開発帝石(インペックス)は経営行き詰まりなのか?それを暗示する現象(2)
    名無し (08/20)
  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(132)ホテル代の踏み倒し
    No use (07/25)
  • 論理の誤り―纏向遺跡と桃の実の年代
    No use (07/24)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    No use (07/24)
  • 『人麻呂の暗号と偽史『日本書紀』〜萬葉集といろは歌に込められた呪いの言葉〜』を電子出版化した
    ふひと (07/11)
  • 国際石油開発帝石のイクシスプロジェクトは「大失敗」?!
    高松 和弘 (06/27)
  • 起きる確率の高い南海トラフ地震の被害額が1,400兆円以上と言うなら
    toshi (06/14)
  • 決裁文書の事後改竄は単なる文書管理の問題ではない
    giinnokoe (06/01)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    名無し (05/28)

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM