内閣統計官を置くとなぜ士気が高まるのか?非論理的だ

厚生労働省の毎月勤労統計における違法統計を始め政府基幹統計の不正が広範に行われていた問題が重要だ。これに関し産経新聞(38日)の「正論」欄に双日総合研究所の吉崎達彦が「内閣統計官を新設し士気高めよ」との一文を寄せている。内容は「この程度か!」というものだ。

「今回の厚生労働省の失態は、一部の野党が勘ぐっているように「賃上げを目指す安倍内閣に忖度(そんたく)して」などという高級(?)な意図はなかったはずである。長年に亘(わた)りボーンヘッドが続けられ、途中で気づいた人もいたけれども糺(ただ)す勇気を欠き、しかも上層部は現場の実態を把握していなかった」

日本の基幹統計が安倍内閣によってゆがめられているのではないかと疑われているときに、その統計すべてを統括する内閣統計官を新設するのは愚策の最たるものではないか?ますます安倍内閣の意向が統計に反映されてしまうとの懸念が生じよう。不正を防ぐならチェック&バランス機能が重要となるはずだが、吉崎は首相官邸、内閣の一方的支配に協力したいらしい。

「問題はどうやって統計担当者のモチベーションを維持するかである」

と提起し、吉崎はその回答として、

「そこで提案したいのは内閣統計官の設置である。内閣情報官や危機管理監と同列のポストを設け、政府統計の責任者と位置付ける。官庁エコノミストのOBで、しかるべき方になってもらうとよい。その上で政府全体の統計を指揮・監督する任務を担ってもらう」

と言うのだ。内閣統計官を置くとなぜ各省庁の統計部署の担当者の士気が上がるのか?根拠がなく意味不明の提案ではないか。

統計省を作れとの声に対して、

「餅は餅屋」という見方もある。やはり住宅着工件数は国土交通省で、鉱工業生産は経済産業省で作成するのが本筋であろう。それぞれの業界を担当する省庁が、統計作成の実務を行うことが望ましい」

と各省庁の専門性を重視して反対しておきながら、いずれかの省庁出身者、つまり或る統計に偏った経験しか持たぬものを内閣統計官にすれば良いとは、論理に一貫性が見られない。

「ビッグデータ時代においては、官民を合わせた制度設計が重要になってくる。近年叫ばれているEBPM(エビデンス・ベースド・ポリシー・メーキング=証拠に基づく政策立案)も、統計が不十分では掛け声倒れに終わってしまうだろう」

に関してはなるほどそうである。しかし、安倍内閣がその行動様式と、次々に出てくる基礎データ改ざんから、PBEM(ポリシー・ベースド・エビデンス・メーキング)ではないかと強く疑われているのである。なすべきことの方向を間違えているように見える。「正論」には見えないのだが。

 


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