櫻井よしこの無知が明白に?

櫻井よしこの産経新聞への投稿記事を読んできて感じたのは、記事の内容にかなり間違いが多いことだった。「保守のマドンナ」としての役回りで色々なことに言及するがご本人にはそれほどの知識がないのかもしれない。そういう状況からみて多くの記事には下請けというか、ライターが存在すると思われる。

さて産経新聞(311日)の「美しき勁き国へ」欄に寄せた「改憲 国家存続への一歩」はひどい内容である。明治政府以来の政治的な思惑で曲げられ、刷り込まれてきた歴史の上に立っての議論には辟易した。『隋書』『舊唐書』『新唐書』『三国史記』などはおろか、『日本書紀』すら読んだことがないのだろうと推察した。ご本人だけでなくこの記事を用意した下請けのライターも同様なのだろう。

さて、前段は中国の軍備拡大路線により日本周辺がきな臭くなってきている状況の説明である。そしていつもと変わらぬ、安倍晋三首相への応援意見が繰り広げられる。すなわち、

「他国頼りの国防を含めて日本の戦後を再検討しなくてどうするのか。憲法改正を急がずして日本は生き残れるのか」

かつてのアジ演説のような言葉がほとばしる。前半は米国の兵器を際限なく購入し、米国との緊密な主従関係の維持に最重点を置く安倍晋三内閣への批判とも取れるのだが、後半が特によくない。極端な話、改憲しようがどうしようが、憲法を印刷した小冊子をかつての紅衛兵の毛沢東語録よろしく突き付けても振りかざしても、敵のミサイルが防げるわけがなかろう。敵の尖閣奪取を食い止めることなどできはしない。憲法は単に憲法であって、弾丸でもミサイルでも或いはシェルターでもないのである。憲法に書いても書かなくても、すでに自衛隊は存在し、軍事力を保有している。いったん有事となれば、自民党政権が何度も使ってきた「憲法の解釈変更の閣議決定」、そしてさらに「超法規的」行動をとればよいだけである。国家の防衛は軍事力でするものであり、憲法の条文でするものではない。「韓国と本当の喧嘩になっては困る」と言い出してまたもや、そしてさらに韓国になめられる結果を生むことのほうが問題なのである。

そして話は朝鮮と中国という関連で日本がかかわった多くの騒乱の中の白村江の戦を取り上げている。

「663年、多年の懸案だった朝鮮問題解決のために、すでに滅亡していた百済救援の大義を掲げ、日本は総力を挙げて戦った。2万7000と伝えられる兵を1000艘(そう)の船に乗せて西へ進んだ。だが惨敗した」

百済滅亡に際して、日本は情報さえ得られずに何もできなかった。滅亡後に救援したのではなく、百済再興に対して援軍を送ったのである。白村江の戦に参加した1000艘の内、戦ったのはわずか400艘で残りは傍観していた。敗戦後、倭国(日本)に戦時賠償交渉団が唐から派遣され、その後筑紫都督府への唐軍の駐留があり、倭国は唐に占領されることになった。状況把握は間違いだらけである。

「日本は当時、文字、技術、律令制度などを中国に学んでいた」

これも間違いである。隋、唐とは関係が悪く長期間使者の派遣もなく、朝鮮半島の緊迫化に伴い、遣唐使が軟禁状態に置かれるなど、文化の移転などできる状況ではなかった。壬申の乱の天武天皇たちを、乱に参加した日本人が日記に、あの者たちは唐人(中国人)だと記している。

「当時新羅は日本を蔑称の「倭国」と記さず、「日本」と記した」

との記述を見れば、これを書いたものが原資料を一度も見たことがないのが分かる。まったくの嘘だらけと言ってよい。そしてそれに気づかぬ櫻井よしこの”教養”の低さが明白である。

出来れば、『太安万侶の暗号シリーズ』の(五)(六)(七)、『人麻呂の暗号と偽史「日本書紀」〜萬葉集といろは歌に込められた呪いの言葉〜』などを読んでほしい。参照すべき内外の資料の原文も引用している。また近々出版予定の『北魏再興国家としての日本(漢家本朝)』にも当時の状況は詳述してある。一読願えれば、いかに間違った歴史を語っているかがわかると思う。意見、解釈の相違があってもよい。しかし政治的意図をもって作り上げた学校教育用の歴史をそのまま真実のように取り扱うのは間違いである。櫻井よしこの正体が見えるようだ。

著書を櫻井よしこに送ってやろうかといったん思ったがやめにした。政治的な言動に終始するものは、主張に合致する資料、説しか相手にしないのが常だからだ。

 


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