INPEX(国際石油開発帝石)はイクシスの追加開発を秘密裏に実施中?

最近、INPEX(国際石油開発帝石)のイクシス開発に関し、例えば、

“In addition, Subsea 7 has submitted bids on the Inpex-operated Ichthys 2”

https://www.upstreamonline.com/hardcopy/1718582/subsea-7-steels-itself-for-surf-boom-in-2019

といった記事を目にするようになった。イクシスLNGプロジェクトは工程遅延とコストのブローアウトもあって商業性に問題のあるプロジェクトだが、ようやくLNGの生産も出荷も行われることになったところである。しかも膨大な借金(債務)を抱えている。しかるになぜこの時点で第二次開発なのであろうか。前回のブログでは、埋蔵量の決定的な不足があるのではないかとの疑問を提起した。もちろん「隠蔽クス」よろしく肝心の評価データは表に出てはこない。

ではイクシス2次開発との計画がないのかと思えば、それを検討していたことを示す記事が見つかるのである。

例えば、“World’s four leading subsea equipment suppliers to compete in FEED bid for Inpex’s Ichthys phase 2 development over the next four to six months.”

という記事が2018年4月17日に出た(https://www.mentorimcgroup.com/2018/04/17/world-four-leading-subsea-equipment-suppliers-to-compete-in-feed-bid-for-inpex-ichthys-phase-2/)。この記事にある「イクシスのフェーズ2開発」とは何だろう。記事の冒頭に約1年前の時点でなされた説明があるので紹介しよう。

For two years, Japanese operator INPEX have been planning phase 2 of their Australian offshore gas development, Ichthys, which is intended to almost double the rate of production through the drilling of new wells, although the exact work scope is yet to be confirmed. The Ichthys initial phase had been described as “three mega projects in one, with some of the world’s biggest and most advanced offshore facilities”. The projected rates of the new phase 2 development are an increased 2.4Bcfd of gas, and the capacity of the two LNG trains is also due to increase.

内容は、詳細なワークスコープはこれから決定されるだろうが、国際石油開発帝石はイクシスのガス生産レート(量)を追加開発井の掘削によって約2倍にしようとしている、というものである。そして、2LNGトレイン分が目標とされているらしい。

この話が本当なら、国際石油開発帝石はイクシスの現在までの開発にかかわる費用のための借金返済が終わるどころか始まるかどうかの段階でさらに巨額の資金調達の必要が生じる。ビヘイビアーは常識的ではない。やはり埋蔵量不足とのやむに已まれぬ事情があるのかもしれない。トタールが権益を縮小しようとする行動もそれなら理解できる。

このイクシス2次開発自体、コントラクターの動きからもその存在は確からしい。例えばBOMBORA-ESPという会社はそれにかかわってきたようだ。

June 2016 – Granherne extends Bombora-ESP contract for INPEX Ichthys Phase 2a Pre-FEED Studies ("Studies Lite Part 2")

Following the successful concept studies, Granherne has re-engaged Bombora-ESP to provide Pre-FEED support to Ichthys Phase 2a. The work will see Bombora-ESP team members provide further engineering definition in readiness for FEED in 2017.

以前からイクシスの2次開発の検討作業が専門業者への外注を含めて長期に行われてきていて、今現在入札が行われているのであれば、当然国際石油開発帝石の事業計画に盛り込まれ、予算が計上されているはずである。しかし、国際石油開発帝石のホームページのイクシス関連の記述には全く触れられていないようだ。イクシスが生産を開始した直後であり、借金返済に向かう時点での新たな巨額開発プロジェクトの開始を株主等に説明しないで行ってよいものだろうか。しかも時間をかけて検討をした計画で突発的なものではないのである。それを公にしない理由は何か。東証一部上場企業としてのガバナンスに問題があるのではないか。IRをないがしろにしていないか。これで「健康経営優良法人019」に認定とは政府系企業に対するお手盛りか。(補足を参照)

付言すべきは、イクシスLNGプロジェクトは国際石油開発帝石(INPEX)の単独事業ではないことである。パートナーとしてトタール、CPC、東京ガス、大阪ガス、関西電力、JERA、東邦ガスが参加するものだ。年次計画と予算はオペレーティングコミッティー、マネージメントコミッティーで承認されているはずである。そしてパートナーは事業の部分的離脱を宣言しない限り、費用に関するキャッシュコールに応じる義務がある。すなわち東京電力、大阪ガス、関西電力などの日本企業の出資計画等としてそれぞれの企業内での承認を得ているはずなのである。さらに、オーストラリアにおける、イクシスが存在するような生産鉱区では、当然作業計画及び予算がオーストラリア政府に報告、承認を受けているはずなのである。また、資金を借り入れで賄うのなら、融資を実行する金融関係への計画や採算見込みなどが説明されているはずである。

となれば知らぬは株主ばかりなり、という状況なのか。コントラクターだった千代田化工と(法廷)係争を抱えるこの会社が「東証一部上場」で「健康経営優良法人」と聞けば疑問を持つほうが普通ではないだろうか。国際石油開発帝石は経済産業省が黄金株をもって支配している企業である。すなわち、税金を使って運営しているものととらえてもよいだろう。その事業内容を国民と、一般株主だけに知らせないとの経営は国民を裏切るものではないか。国民の財産に関する事柄である。国会が監視しなくてはならないと感じる。もっとも、週刊誌の記事にならなければ問題に気が付かない役立たずの国会議員になど監視できないのかもしれないが。

諸悪の根源は、その無能さを別にして、国際石油開発帝石の「事実を隠し、嘘をつく」体質と、その天下り会社という構造的な欠陥であろう。

「補足」

「健康経営優良企業」について思い違いをしていた。当然、「経営が健康」な優良企業の認定制度だとその名称から思っていたのだが違った。不正などしない、良心的経営をしているとのイメージを抱いただけに、なぜ事業の実態を隠し、商業性にも疑念があり、他国政府との約束を守らず、関係会社と訴訟に至るような係争事件を起こし、「健康」という面では、イクシスでの作業員死亡事故、潜水夫の脳障害、異常に多い自殺者などからはHSEに大きな問題があるこの会社が、従業員などの健康に関する投資をしている程度で表彰とのまるで厚生労働省所管のような「健康経営優良企業」に選ばれるのがどうしても理解できない。健康対策に金を使ったが、従業員の健康を守らなかった会社の表彰は、同じ経済産業省一家としての「お手盛り」に見えるのである。経済産業省の言う「健康経営」とは「経営の健全度」とは無縁のものという点にご注意いただきたい。私は意味を取り違えてブログ記事を書いてしまったが、当初の印象を残す意味でも、修正せずにそのままご覧いただくことにした。それにしても厚生労働省みたい…、経済産業省の施策のタネ切れ感大である。

 


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