石油資源開発株式会社の解体処分

石油資源開発(JAPEX)に展望などないことはこのブログに繰り返し書いてきたことである。「SKはもう終わりだね」(SKとは石油資源開発、JAPEXのこと)という言葉はOBの間で事あるたびに口にされたものである。今般その「終わりかた」を「解体処分」と表現する記事が出た。『選択』の2月号の記事「国策資源会社JAPEXの『解体処分』」である。見出しの右側には「血税浪費した「穀潰し」の末路」なるすさまじい言葉が添えられている。

石油資源開発に将来の展望がないこと、すでに探鉱開発を目的とするアップストリームの会社ではなくなっていること、かといってパイプラインに輸入したLNG気化ガスを通しても販売先が増えるわけではないこと、カナダのPNWからのLNG 引き取り義務量の販売先がまったくもって不足するので行き場のないLNG 気化ガスの消費先(燃焼塔)としてやむなく発電所を建設したこと、北海道の勇払ガス田の埋蔵量を過大評価して無駄設備投資をしたことなどをすでにこのブログで指摘してきた。

しかし、『選択』の記事にはカナダオイルサンドと、PNWの失敗が主たる破綻の原因のように取り上げられている。執拗に繰り返し触れている棚橋裕治への、不満ぶりも考え合わせれば、情報のリーク源は経済産業省なのではないかと想像される。記事が「同社は三十年の会社の利益構成を開発六、非開発四とする目標を掲げた。」と同社の発表した表向きの“計画”に基づいた意見を書いているところからも、石油資源開発の実態を知る内部のものが情報ソースではないように思われる。

石油資源開発の中期計画・目標などがことごとく”画餅“或いは”張子の虎”であったことは歴史、実績が証明している。

相馬のLNG受け入れ基地の稼働の前後の年間のガス販売量はほとんど同じだったように記憶する。つまり、もともとPNWになど参加するとした判断自身が経営ミスだったといえる。加えて無駄発電所の建設、相馬のLNG受け入れ基地建設がPNWFID(最終投資決定)より前に石油資源開発内で決定されたことに対する経営責任を株主は問うべきだろう。よほどの“裏”がなければこのようなことがなされるはずがないからだ。そして現在、その愚かな判断が石油資源開発を奈落の底に落とす結果を招いていることを無視できまい。

カナダオイルサンドは、34年前にすでに私が本社探鉱部海外担当として担当し、「将来性などないので早急に撤退すべきだ」とのレポートを提出していたプロジェクトなのである。カナダオイルサンドに固執し続けた経営判断も誤りだった。それは参加会社が次々に消え去った「振り向けば誰もいない」という事実からでもわかるだろう。

それらの不良プロジェクト(カナダオイルサンド、PNW,相馬LNG受け入れ基地、相馬発電所など)に対する、投資、融資、債務保証などは巨額なはずだ。この状態で監査法人が何もしないなどということは考えられないのではないか。

平成30年度の石油資源開発の通期見通しは、年後半での想定油価を75ドルとして“算出”している。実態とかけ離れた“大粉飾”油価といえるのではないだろうか。実勢油価の推移をみれば、いかに高値想定をしたかがわかるはずだ。通期見通しをプラスにするために油価を逆算で求めたとしか考えられない。そのような見通し、計画という名の”幻”などをもとに議論などすべきではないし、できないだろう。

さて、仙台パイプラインなどのインフラを切り離したうえでの国際石油開発帝石(INPEX)との合併(救済統合)の件だが、仙台パイプラインが本当に売れるのだろうか。東北電力向けのパイプラインのようなものだから、それ以外のガス会社などにとって魅力があるか否か、やや疑問に思う。そして、そのルート沿いには大都市などない。はっきり言えば大口の需要などない田舎を走っているのだ。つまりガスの販売先が目に見えて増える可能性は少ない。まして少子化により日本は田舎ほど産業が衰退していく傾向にある。

もしインフラの切り離しに成功しても石油資源開発にはSKEという掘削会社も、物理計測という坑内検層会社も、地科研という物理探鉱の専門会社もが子会社として存在する。いずれも経営的に苦しいはずだ。不採算部門と多くの従業員を抱える石油資源開発を国際石油開発帝石と統合する案など、株主の大反対を受けるだろう。それこそ血税の新たな無駄になる。

また、国際石油開発帝石自体、その実態は経営危機にあるのではないだろうか。マハカム沖の権益は一昨年末に失っているにもかかわらず、その後の新契約交渉中というだけで何ら公表しないのは、交渉に失敗したことを隠しているのだろうし、オーストラリアのイクシスLNGプロジェクトは商業性などないとみてよいだろう。なにしろトタールが、せっかく国際石油開発帝石から取得した30%の権益のうち4%を、LNGの出荷が始まったところで損切りしてまで国際石油開発帝石に買い戻してもらったほどなのだ。メジャーの一つのトタールが逃げ出すほどということだと思われる。国際石油開発帝石は、現在第二次開発フェーズの入札を実施しているが(現地報道)それの日本国内報道はないようだ。もちろん国際石油開発帝石も口にしないようだ。昨年秋にようやく生産開始したLNGプロジェクトがなぜすぐに第二次開発に着手するのか。先の開発井20坑のうち少なくとも最初の2坑が失敗だったのは世に知られている。状況は埋蔵量不足を推定させるものだ。国際石油開発帝石もまた「血税浪費した「穀潰し」」ではないのか。マイナスとマイナスをくっつけても図体が大きくなる分さらにマイナスが加速増加するだけだろう。そこを取り上げぬのはこの記事の書き手が石油資源開発の社長、会長を務めた棚橋氏(元通産省次官)に対してのような特殊な思いを、国際石油開発帝石に対しては持っていないためであろうか。書き手の姿を想像できる人もいるのではないだろうか。

石油資源開発がボロクソに書かれているが、一つだけ弁護しておこう。通産省、経済産業省の“やりたい”ことのために、例えば五か年計画の補助金支給対象会社として、石油公団の業務づくり、実績作りのための無意味な海外プロジェクトの実施会社としてなど、最初から無理と分かっていたメタンハイドレート”研究”の押し付け先として、石油資源開発が多くの不採算事業に否応なく巻き込まれてきたことを忘れてはならない。日本の石油開発会社が成長できなかったのはかつてOGJ(海外の石油専門誌)が指摘したように経済産業省と石油公団(現JOGMEC)に大きな原因がある。産業を育成すべき経済産業省が産業の発展を阻害した例として長く歴史に名を遺すのではないかと感じる。

付言すべきことがある。現在私のブログ「作家園田豪の筆の向くまま。。。」に毎日曜日連載中の「園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)」で、約20年前(1998年頃)に国内の石油資源開発が保有する鉱区内での石油。ガスポテンシャルを評価し、その時点での探鉱成果の予測を行って、その結果を社内で当時の常務取締役とともに説明し、国内探鉱の終息(ソフトランディング)に向けて行動していた事実を丁度書いている。参照いただくと、石油資源開発の内情が理解しやすくなると思う。潰れる会社には潰れるだけの理由があることが納得できると思う。早く手を打てば救えただけに、個人の昇進、保身、資産のために行動する者たちに経営をゆだねてきたことが残念である。園田豪のブログはこちらからー>http://blog.sonodago.com/

 

 


コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
2425262728  
<< February 2019 >>

にほんブログ村

selected entries

archives

recent comment

  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(88)人事考課を書き換えさせた石油資源開発人事部
    名無し (10/15)
  • 国際石油開発帝石(インペックス)は経営行き詰まりなのか?それを暗示する現象(2)
    名無し (08/20)
  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(132)ホテル代の踏み倒し
    No use (07/25)
  • 論理の誤り―纏向遺跡と桃の実の年代
    No use (07/24)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    No use (07/24)
  • 『人麻呂の暗号と偽史『日本書紀』〜萬葉集といろは歌に込められた呪いの言葉〜』を電子出版化した
    ふひと (07/11)
  • 国際石油開発帝石のイクシスプロジェクトは「大失敗」?!
    高松 和弘 (06/27)
  • 起きる確率の高い南海トラフ地震の被害額が1,400兆円以上と言うなら
    toshi (06/14)
  • 決裁文書の事後改竄は単なる文書管理の問題ではない
    giinnokoe (06/01)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    名無し (05/28)

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM