園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(171)教育研修の企画と実施(2)

石油開発の探鉱技術者の仕事に、通常「電検」と称される坑内物理検層の立ち合い(witness)や物理検層データの解析、評価というものがある。しかしこれらは大学の地質学科などで教えるものではない。石油資源開発の場合も、先輩から手ほどきを受けたり、シュランベルジャーといった物理検層会社のマニュアルを読んで覚えていた。すなわち、本来コントラクターとして石油開発会社にチェックされる立場の物理検層会社のマニュアルに基づいて石油開発会社の探鉱技術者が、言わば師匠とも言うべき物理検層会社の仕事をチェックするという、馬鹿らしいことになっていたのである。

本来岩石物理学(Petrophysics)をベースとすべき岩石物性評価を物理検層会社の商業的手法をそのまま受け入れて実行することなどしてはならないのだが、物性学を学んだ地質屋などほとんどいなかったのが現実である。物理検層会社が砂岩層の解析に使うアーチーの式など、第一近似としてさえ荒っぽすぎる”近似式”なのだが、その事を原著論文で確かめたものは稀有であろう。

サハリンでの石油開発に従事した時に、採取したコアから10センチごとに試料を抜き、分析したデータを使って岩石物理学的検討をし、物理検層データの解析法を再検討した経験から、しっかりした基礎を探鉱技術者に学ばせなくてはいけないと痛感した。そしてジャペックスオマーン時代にシュランベルジャー社のエンジニアとして現場の物理検層に従事した人が、ロンドンにいて、何とシュランベルジャーの技術者教育を請け負うプロになっていることを知り、講師になってもらうべく連絡を取り快諾を受けた。

新潟県長岡市にあるシュランベルジャー日本事務所にある、ツールのキャリブレーション用のピットホールを借り、検層機器も使用させてもらってのレクチャーを開催したのである。

これらのレクチャーにより石油資源開発の探鉱技術者の技術はかなり向上させられたと自負している。しかし、鉱区の取得前評価、特に経済性評価をどのように行うか、油田評価も含め多くの教育課題については私がインドネシアのプロジェクトに突然出されたこともありレクチャーコースを実現できなかった。その後、教育プログラムが実施されたとも聞かない。油田発見も、効率的開発生産もなかなか叶わぬのもむべなるかなである。プロジェクトのレビュー、反省の欠如も含め改善の余地は多い。教育というものは一過性のものであってはならぬのだが、自らの昇進・栄達を望むものには興味を引かないもののようだ。また、事務系だけで出来上がっている人事部などには技術系を含む社内教育そのものが理解できない。技術会社を標榜しながらである。

 


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