ヨイショに見せて実は安倍対ロ外交に批判的な神谷万丈の「正論」

産経新聞(126日)の「正論」欄に防衛大学校教授の神谷万丈の「対露外交に国際秩序守る視点を」と題する一文が載っている。なかなかに面白い。冒頭は、

「この6年間の安倍晋三首相の「地球儀外交」の成果はめざましい。これまで、首相の外国訪問は71回、訪問先は78カ国・地域(のべ156カ国・地域)に及んでいる。世界が日本を見る目も違ってきた。ポスト小泉の数年間、日本は、「決められない政治」を揶揄(やゆ)され、国際社会での存在感が希薄になっていた。だが、今や世界は、安倍外交に注目している」

とある。誰が見ても安倍賛辞と判断するだろう。しかし読み進んでいくと感想が変化せざるを得ない。

「最近安倍首相は、ロシアとの平和条約締結交渉を加速させたい意向を示しているが、日本が対露外交を進める際には、単に2国間関係の改善を目指すだけではなく、既存の国際秩序を守るという大目標をも忘れるべきではなかろう。」

は、安倍首相の対露外交を誉めているように装うが、実は「既存の国際秩序を守るという大目標を忘れているぞ」と批判の目を向けているのである。さらに、

「領土問題でも然(しか)りだ。クリミア問題で対露批判を弱め過ぎたり、北方領土問題で無原則な妥協をしたりすれば、日本は、尖閣や竹島の問題で国際法を根拠に相手国を批判する資格を疑われかねない」

と述べている。言いたいのは、「クリミア問題で対露批判を弱め過ぎだ」「北方領土問題で無原則な妥協をしているではないか」「それでは、尖閣や竹島問題で国際法を根拠に相手国を批判する資格などない」との叱責なのである。また続く、

「目標の優先順位を見極める目が重要だ。ルールを基盤にした国際秩序を守ることこそは、現在の日本にとっての最優先の戦略目標だ。」

は、安倍対露外交は、取り組むべき課題の優先順序を間違えているとの指摘である。冒頭で「ヨイショ」かと思わせておいて後は対露外交の間違いの指摘のオンパレードである。結びに至っては、

「この問題に関する米国のリーダーシップに疑念が広がっている今、日本に対する国際的期待はとりわけ高まっている。日本の対露外交は、その試金石として注目されるだろう。政府がこの点を見誤らないことを望みたい」

と、表現こそ柔らかいが、安倍政権の外交の基本的間違いを憂いていることが分かる文章なのである。

対中も対露も基本が間違った外交をしているということだろう。地球儀をいくら俯瞰してもそれは「外交」ではないのである。

 


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