北方領土交渉、失敗を成功とする詭弁を許してはならない(2)

11月16日の産経新聞一面トップの記事は首相官邸の記者クラブに属する記者が書いたものだろう。首相官邸の言うことを、考えもせずに垂れ流す様子からは、産経新聞の記者というより、官邸の広報担当のように見える。

同じ日の、第二面の「主張」(社説)」の内容は全く異なる。飼いならされたものと独立したものとの差と言ったらよいだろうか。「主張」の冒頭を読めばトーンの違いは明白である。一部を引用すれば、

「安倍首相が「2島返還」を軸にした交渉に舵を切ったとの見方が出ている。 そうだとすれば、共同宣言以降の60年余り、四島の返還を目指して日本が積み上げてきた領土交渉をないがしろにしかねない」

つまり、60年かけて四島返還へ向けて前進して来たのに、60年前の日ソ共同宣言で良いと、大幅譲歩をいとも簡単にしてしまった様なのだ。我が国の領土は安倍首相の個人所有物ではない。そのような重大事を与党内議論もなく、国会での検討もなく、一首相個人が独断で決定できるはずがないだろう。

さて、「主張」は過去の経緯をひも解いてもいる。重要な点は、

1956年の日ソ共同宣言の後、1993年に日露両国の首脳が、択捉島、国後島、色丹、歯舞の「四島の帰属」を「法と正義」の原則によって解決するとした東京宣言に署名していることである。さらにプーチン氏自身が署名した2001年のイルクーツク声明は、日ソ共同宣言が交渉の出発点を記した「基本的文書」としつつ、東京宣言に基づいて四島の帰属問題を解決するとうたっていることである。この点を指摘して「主張」は、

「今回の安倍首相とプーチン氏の合意は、共同宣言が「格上」でであるというロシア側の主張に迎合したものではないのか」

と書いている。

この状態を見れば、「新しいアプローチ」などという言葉など欺瞞の極みであると言えよう。歯舞、色丹の面積が四島のたったの7%にしか過ぎないことを考え合わせれば、「売国的合意」と評さざるを得ないのではないか。

 


コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< January 2019 >>

にほんブログ村

selected entries

archives

recent comment

  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(88)人事考課を書き換えさせた石油資源開発人事部
    名無し (10/15)
  • 国際石油開発帝石(インペックス)は経営行き詰まりなのか?それを暗示する現象(2)
    名無し (08/20)
  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(132)ホテル代の踏み倒し
    No use (07/25)
  • 論理の誤り―纏向遺跡と桃の実の年代
    No use (07/24)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    No use (07/24)
  • 『人麻呂の暗号と偽史『日本書紀』〜萬葉集といろは歌に込められた呪いの言葉〜』を電子出版化した
    ふひと (07/11)
  • 国際石油開発帝石のイクシスプロジェクトは「大失敗」?!
    高松 和弘 (06/27)
  • 起きる確率の高い南海トラフ地震の被害額が1,400兆円以上と言うなら
    toshi (06/14)
  • 決裁文書の事後改竄は単なる文書管理の問題ではない
    giinnokoe (06/01)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    名無し (05/28)

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM