細川珠生の教育改革論に疑問

「あの産経新聞に登場し始めた安倍批判」シリーズの息抜きに他のテーマのブログを挟もうと思う。

細川珠生という人がいる。産経新聞(11月7日)の「解答乱麻」のコーナーに「今こそ教える体制の再考を」と題して一文を寄せているのだが、先ず筆者紹介の僅か4行に違和感を持った。4行しかないのであれば、そのわずかなスペースで出来る限り本人を知らせるようにすべきだろう。しかし、実際には「ラジオや雑誌でも活躍」とある。ここで言う『活躍』とは何か。ラジオや雑誌に出てくる頻度が高いということを意味するだけなら、そんなものは本人を評価、判断する材料になどなるまい。テレビに出ずっぱりの芸人が偉い人、立派な人ということではないのだから。

そして「父親は政治評論家の故細川隆一郎氏」ともある。それがどうした、と言いたい。親が有名の、偉いのと言ったって子供の出来とは無関係だろう。トンビが鷹を生むのは珍しくても、鷹がトンビを生むのは普通なのである。著者紹介はウィキペディアではなく、芸能人の紹介でもないのだが…。七光り期待の人が教育を語るのか…

さて、論旨にも未熟さが感じられる。

「今の日本に必要な教育は、ここの特性や資質、能力を伸ばすために、少人数教育を行うことである。特に日本人に欠けている議論する能力を養うには大人数ではできない。また学習の習得に差があっても一斉に授業をすることが原則であり、習得の早い子、遅い子、ともに消化不良のような学習になる」

の部分を題材に少し分析してみよう。

「議論する能力を養うには大人数ではできない」の部分は明らかに日本語が間違っている。「…養うのは大人数では…」とすべきではないのか。主語と述語という基本が理解できてないレベルが教育を語るとは。ひょっとして親の七光りで生きる人なのかと、ふと疑問を持った。また「学習の習得」という表現が正しいと思っている人らしい。たったこれだけの文章に日本語表現上の疑問点が複数表れるようではと、その能力に不安を覚えた。

日本語能力についての議論を脇に於いて、その主張する所を見てみよう。

細川は少人数教育を勧めている。その主眼は「日本人に欠けている議論する能力を養う」ことだという。そしてその能力は「大人数(教育)ではできない」と主張する(括弧内は私が補った)。一言で言って間違いだ。議論というのは相手が少人数の場合も大人数の場合もあるのだ。細川の頭にある「議論」なるものは極めて限られた「議論」をイメージしているのだろう。この部分を読むだけで、議論・交渉を実務としてこなしてきた人ではないことが見えて来る。恐らくは実務ではなく知識として学んだ人なのではないだろうか。

習熟度によって区分しての学習の方が効果が上がることは昔から分かっている。それが実施されてこなかったのは、教育に関してあれこれ言う文化人なるものの影響だったのだ。いうなれば教育に信念を持つ人が不足だったということだ。そして習熟度別の教育が少人数教育を意味するものではないことに注意が必要だ。習熟度と人数というものは異なる概念の言葉である。

最後に、私はいわゆるベビーブームの時代の生まれである。小学校では60人クラスで且つ2部授業を経験した。中学校では55人クラスが1学年に21クラスあった。それこそ、細川が学習効果が悪く、議論する能力も育たないという教育環境の中で育った。だが議論も交渉も得意分野である。どうも、本とウェブで覚えた知識を元に意見を言う一見知識人が増えたように感じる。それをまたちやほやする輩がいるのがいけない。それでは本物が育つわけがない。

一言加えておこう。所謂学習効果は習熟度別勝少人数の方が上がるのだろうが、教育とは知育だけではない。年齢の様々な子供たちが戸外で遊んだ昔とは異なり、何人か子供が集まっても、てんでバラバラにゲームをして遊んでいるような現代では社会性の獲得という大きな教育目標の達成が難しい。この面では、さまざまな個性、主熟度の子供が数多く存在する、一つの社会を構成した方が良い。大人数はその点では好ましいのである。教育とは人間を育てることであり、知識の習得、技術の習得だけではない。ディベート能力を皆に持たせることが本当にそれほど重要だと考えているのだろうか。何処か基本的考え方に違和感が残るのだが。

 


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