園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(166)補助井における検尺

国(経済産業省)の補助金をもらっている試掘井では計画深度まで掘削したかの確認が必要である。税金が使われているのだから当然だ。勿論税金100%の基礎試錐でも同様だ。掘り止めになると経済産業省から検尺官という係員が現場にやってくる。

さて、検尺の方法だが、掘削の場合のビット、ドリルカラー、ドリルパイプの編成で坑底まで降下して、その鉄管長の総和として掘削深度を求めるのが普通である。ドリルパイプはおおむね1本9メートルほどのものだが、何故か統一された長さではなく、長短がある。使用中に、破損などがありパイプ自体を切断して短くなることも、ネジの切り直しで短くなることもある。それらのバラバラな長さの鉄管類の長さは鉄管長リストに記録されている。そして実際に掘削に使われた鉄管の編成も正確に記録されている。

従って、鉄管の編成と個々の鉄管の長さの記録から坑井の掘削深度は計算できるのだが、それを確認したとしてもそれは鉄管長リストの確認に過ぎないので、検尺は実際に坑底まで降管した後に、楊管し、例えばドリルパイプを3本つないだワンスタンドごとに実際に巻尺で長さを計測して、それを検尺官にその都度確認してもらうことになっている。しかしこの作業は検尺官が来るより前に企業側で実施し、スタンドごとの鉄管長リストを作成しておくのが常だ。

現場に検尺官が鉱業所長に車で到着するのは私の経験では午前10時過ぎだ。それから場長による現場の説明があり、楊管(通常は既に始まっている)と計測が始まる。検尺官も櫓下に行き、楊管と検尺を実見する。しかしその数は3,4スタンドであろうか。直ぐに鉱業所長車で現場を去っていく。「お偉いさんが昼飯に行った」と現場で言われる状況だ。検尺官が現場に現れるのは午後3時ごろが普通だったか。その間黙々と楊管作業が進んでいる。検尺官はまたもや数スタンドの計測を実見して現場を去っていく。

これ以上ない、というほど善意に解釈すれば、検尺のごくごく一部をサンプリングして、全体の検尺の確度を判断したと言えようか。しかし普通に考えれば、検尺官が実際にしていることは「おざなりな」「いい加減な」「形式的な」チェックと言われるものだ。およそ国民の大切な税金が正しく正確に使われているかを確認するとの意識など見当たらない。

決裁後に、その決裁内容を書き換えるのが役所である。正義感を山の中の現場に来る検尺官に求めるのはもともと無理なのかもしれないが、いくらなんでもひどい実態であった。これらは私が実際に昭和49年当時に経験したことであるが、役人の本質は変わっていないのではないだろうか。我が国において行政監察が機能しているとは全く思えないのである。

 


コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2018 >>

にほんブログ村

selected entries

archives

recent comment

  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(88)人事考課を書き換えさせた石油資源開発人事部
    名無し (10/15)
  • 国際石油開発帝石(インペックス)は経営行き詰まりなのか?それを暗示する現象(2)
    名無し (08/20)
  • 園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(132)ホテル代の踏み倒し
    No use (07/25)
  • 論理の誤り―纏向遺跡と桃の実の年代
    No use (07/24)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    No use (07/24)
  • 『人麻呂の暗号と偽史『日本書紀』〜萬葉集といろは歌に込められた呪いの言葉〜』を電子出版化した
    ふひと (07/11)
  • 国際石油開発帝石のイクシスプロジェクトは「大失敗」?!
    高松 和弘 (06/27)
  • 起きる確率の高い南海トラフ地震の被害額が1,400兆円以上と言うなら
    toshi (06/14)
  • 決裁文書の事後改竄は単なる文書管理の問題ではない
    giinnokoe (06/01)
  • (続)石油資源開発の新役員布陣が発表されたが―身体検査は大丈夫か?
    名無し (05/28)

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM