園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(164)年次探鉱計画策定(4)

年次探鉱計画策定の自由度をなくし、国内探鉱を遅らせる要因の一つに基礎試錐というものがある。経済産業省が作成する5か年計画に含まれるもので、いったん策定されればこれを無視することはできない。

基礎試錐は国が全額を負担するものであり、民間会社、と言ってもほんの僅かだが、が作業の受託者となる。全額政府負担となれば、石油ガスなど当るわけがないが、広域的な地質の状況を把握するのに都合の良い所のデータ取得を目的とするようになる。企業自身の費用での試掘は、石油ガス発見の可能性の高い所から計画するのと逆である。その結果として基礎試錐で石油ガスを発見したことなどほとんど皆無に近い。

基礎試錐は調査、データの取得が目的なので、とにかくその仕様が豪華・重厚である。金に糸目をつけぬ感がある。ありとあらゆる物理検層を行い、化石の調査も詳細を極め、随所でコア掘りをし、そのコアの分析も量・質共に多い。通常の試掘では物理検層データ及び掘削中の兆候から、テスト対象ではないとされるゾーンであっても、仕上げて試油・試ガスを行うのである。その結果、基礎試錐の作業期間は恐ろしく長いものになる。1年がかりに近いものも少なくない。そう言った大深度掘削をするための掘削リグも掘削要員も限られているから、基礎試錐のある年には自社の深堀りは実施不可能となる。

元々試掘対象などなくなって来ていたときだからこそ基礎試錐は歓迎されたが、試掘を効率良く進めるフェーズに会社があれば、探鉱の邪魔とも言うべき存在であった。もっとも経済産業省は基礎試錐が如何に企業の探鉱に役立ち、その成果が石油ガス発見にどのように貢献したかについてアンケートを実施する。「基礎試錐で〇〇層がそこまで分布していることが判明したから」などという理由で、○○地域での石油の発見が可能となった」などという理由付けをまことしやかに書いて提出したものである。最近の働き方改革において、ベースとなったアンケートなどが問題視されたが、元々自由で公正な評価など書いてはいけないとされるアンケートになど意味がないことは自明であろう。行政におけるアンケートは、意見を聞こうとするものではなく、施策を肯定させる手段として存在するのである。

 


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