阿比留瑠比の教育勅語感は無理筋の塊

世にいるグルメレポーターなるものが、大したことがない料理を口にしても、理由を探し出しては誉めるのに似ている感がする。それほど薄っぺらいのが阿比留瑠比の教育勅語感だ。

産経新聞(104日)の極言御免は文字通りの曲言御免と化していた。「柴山発言 どこが『バカ』か」という見出しは既にタブロイドレベルだ。こういう見出しは月刊誌『ABIRU』でも創刊して使う方が良いだろう。

柴山文科大臣の教育勅語発言に対する共産党の宮本議員が「バカ呼ばわり」したことについての記事なのである。

「明治天皇が人が生きていく上で心がけるべき徳目を簡潔に示した教育勅語」

と阿比留瑠比は書くのだが。間違いだ。教育勅語は「君に忠、親に孝」を説いたものであり、徳目を書いたものなどではない。幼時より、本物の教育勅語【巻物】を読み、父から教えられたものである。

一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」

天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼とあるところに、目的が明記されているではないか。阿比留瑠比の“意図的曲解”が明白である。 

教育勅語は井上毅、元田永孚らの起草によるものである。それを明治天皇の勅語という「形」で出したものである。「明治天皇が…示した」との阿比留瑠比の認識は基本的に全くの誤りである。

また1947年の現憲法施行後、衆・参両院において「神話的国体観」「主権在君」を標榜する教育勅語は日本国憲法に違反しているとみなされ、参議院では憲法の最高法規性を規定した憲法第98条に基づいて、衆議院では教育基本法が施行された結果として、教育勅語は『既に失効していること』が明示的に確認され、衆参それぞれにより1948年(昭和23年)619日に教育勅語の廃止が決議された。(ウィキペディアの記述を簡略化した)

この経緯を知れば、「宮本氏がどれほど深く教育勅語を研究してきたのかは寡聞にして知らないが」との阿比留瑠比の言葉は「お前にそんなことが言えるか」と問われるべきものだろう。

かの前川元文科事務次官が初等中等教育局長の時に行った国会答弁を挙げているが、それは業務上の立場からの発言である。それを個人の意見の如く例示するのはそれこそ「バカ」ではないのか。大臣になったとたんに持論を封じ込め、政府答弁と整合性のあることを言うのを個人の意見だとする愚と同じである。

嘘で安倍政権を守ろうとするなど、新聞のすることではない。それだけでなく、その意見は教育勅語も明治天皇をも卑しめていることに気付くべきである。柴山擁護の屁理屈など、阿比留瑠比本人の評価を落としているものだとも気付くべきである。

とブログ原稿を書いたのだが、10月8日には産経新聞の「主張」がまた曲言の上塗りをした。教育勅語について、

「歴代天皇と国民が心を一つに祖先がきずいた道徳を守ってきたと日本の国柄に触れながら、それが教育の源だと説いている」

と書いている。本庶先生は「教科書を信じるな」といったが、これでは「産経新聞を信じるな」を言わずばなるまい。「歴代天皇と国民が心を一つに…」とは面妖な。鎌倉幕府が六波羅探題を置き、江戸幕府は京都所司代を置いて天皇家、朝廷を監視してきたのは歴史上明白である。馬鹿なことは言うものではない。そして、

「『一旦緩急アレバ』から続く文言は、国の危機に当っては国民それぞれの立場で協力する当然の責務をうたっている」

と書く。その目的とする「以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」を意図的に隠す説明など、歪曲、隠蔽の類ではないか。さらに、

「昭和23年、国会で排除・失効の決議がされたが、当時は占領下で連合国軍総司令部(GHQ)の意向に従わざるを得なかった事情がある」

と指摘する。噴飯ものではないか。

GHQに押し付けられた日本国憲法を今も捧げ持っているくせに、その憲法の改正を、その押しつけ憲法の規定に基づいて行おうとしているのに、教育勅語の排除・失効については国会の議決があるのをないがしろにするのか。国会で議論しようというならともかく、いかにもご都合主義であり、コンプライアンスなど無縁に見える。

他紙を読んでいないので今言えるのは、「少なくとも産経新聞を信じてはならない。自分で調べて判断すべきである」ということだろう。青少年よ、騙されまいぞ!

 


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