園翁自伝(石油資源開発時代回顧録)(159)経産省によるメタンハイドレート研究への参加強制(1)

探鉱部総合課長となって、(クソ)忙しい毎日を送っていたある日のこと。常には常務室に呼び出すことが多い片平忠実常務が私の所に来た。手には紙の束を持っている。

「オラあ、どう考えてもこれがものになるとは思えない。と言って経済産業省のアンケートだからやんわりお断りのニュアンスで書いてみてくれ」

「何のアンケートですか」

「メタンハイドレートというものだ。五か年計画も行き詰って、新しいものが欲しいと言う所なんだろう」

残念ながら、油田、ガス田の探鉱・開発に集中してきた私はメタンハイドレートなるものを知らなかった。

「少し勉強して、案を作り、お持ちします」

と答えた。因みに「オラあ」だが、片平常務は静岡県清水と言うが元は庵原郡の生まれ、育ちであるので、静岡弁が残っていたのである。(私も小笠郡堀之内の生まれで静岡弁が話せた)

これは私が45歳の時、つまり今から25年前の事なのだ。当時の経済産業省工業技術院地質調査所の奥田義久(私の東大院での同期生)と東大理学部教授の松本良(東大院での後輩)と石油資源開発の子会社地科研の青木の3人がメタンハイドレートの本を書いて、未来のガス資源と騒いだのである。著者3者にはそれぞれの思惑があったようである。

奥田は資源調査をも扱う地質調査所の、研究分野開拓、松本は非金属鉱床学の新分野の開拓、そして青木は地震探査の対象分野拡大との功績を頭に描いていたように思えた。

しかしこれらの著者は3人とも石油天然ガス開発の専門家ではなかった。だからこそ、単なるメタンの集積の1形態に過ぎぬ段階でそれを資源と呼ぶ誤りを犯していた。

メタンハイドレートはほぼ500m以深の深海において、地下から漏れ出て来たメタンガスがハイドレート化したものである。すなわち石油・天然ガスの重要な特徴である液体ではなく、固体なのであった。その存続条件である、低温と高圧を変えれば、メタンハイドレートは分解してメタンガスと水とに分離する。だがその条件は石油天然ガスの採取のように坑井で行うのには不適である。温度変化も圧力変化も坑井から離れるにつれ急激にその度合いが減るからである。すなわち、本来露天掘りで採取するのが望ましい固体状態のものだったのだ。そして深海底なるが故に露天掘りもできない条件下にあったのである。

石油天然ガスという流体鉱物を扱って来たものの目から見れば直感的に相手になどするべきではない代物だったのである。(続く)

(昨日載せる積りだった高須洋介楽天コーチのサイン入りタオルの写真)

 

 


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