なぜ日本にはいない「ディープスロート」

米国大統領の犯罪、ウォーターゲート事件がなぜ発覚したか。それはワシントンポストの記者、ボブ・ウッドワードが精力的に取材し同紙で追及したからである。だが米国大統領という言わば世界一の権力者に関する、しかも犯罪に関する報道だけに、その報道を許可したワシントンポスト紙そのものの政権監視、の役割への深い認識と、公正に関する強い信念があったことが重要だろう。

日本のメディアを見れば、記者クラブで政権にてなづけられたものばかりではないか。新聞社としても政権の意向を忖度してばかりである。一例を挙げれば産経新聞など、その官邸記者クラブ上がりの阿比留瑠比なるものが、安倍広告塔となって書きまくるというより、騒ぎまくっている。新聞社としては、政権寄りの者の記事を「正論」という欄の名称でいかにも正しい意見の如く国民に宣伝している。神武東征や、古事記の話など明治政府の皇国史観、万世一系の天皇制との誤った情報を垂れ流し、国民の洗脳に努めているように見える。

さて、ウォーターゲート事件解明にはワシントンポスト紙だけではできなかった。いかに優秀な新聞記者がいても、そこに正確な情報を提供するものがいなければ解明は不可能だからだ。

私は米国がそれほど好きではない。しかし、民主主義における言論の自由と、政府高官がもつ正義感には敬服する点が多い。日本の政府高官に正義感、倫理観が全くといって良いほど見られないのとは大きく異なっている。大統領と意見、見解が異なるからと自認するものが何と多いことか。政府高官の健全度を示すものだろう。片や、安倍支持をしなければ「冷や飯を食わせるぞ」と露骨に脅す政府高官で政府が出来上がっている日本なのである。

ウォーターゲート事件の場合、その情報提供者は長く不明だった。ニュースソースは明らかにしないとの鉄則をワシントンポストが貫いたからだ。何とその正体は本人が名乗り出て後年明らかになる。その人はFBIの副長官だったマーク・フェルトだったのである。その情報提供の場面など、まるでスパイ映画そのものだった。

さて森友・加計問題だけでなく、自民党政権が秘密にしてきたものは数多いようである。財務省の決裁文書改竄や、厚労省などの省庁による政府の基礎データのねつ造など、前代未聞の腐敗ぶりが表面化している。これを苦々しく思う政府高官も一人くらいはいるのではないか。日本版ディープスロート候補である。

しかし、日本には、ワシントンポスト紙に対応する倫理観、正義感に溢れる新聞社が存在しない。ましてボブ・ウッドワードに対応する新聞記者もいない。このメディアの不健全さがディープスロートの登場を不可能にしているようだ。悲しいことである。

 


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