メタンハイドレート、20年以上かけて“出た”というだけ

経済産業省が54日に「みどりの日」なる休日にもかかわらず発表をしたのだそうだ。余程嬉しかったのか、或いは20年以上にわたって国民の税金を反対が多い中で使って来た”成果”を宣伝したかったのか、であろう。

愛知県沖の南海トラフで行っていた水深千メートルほどの所からのメタンハイドレートの産出試験で、“産出に成功した”というのである。

石油ガスの産出試験結果は、ビーンサイズ、産出レートなどがなければ評価できない。また、石油開発会社は成功を印象付けるために産出レートの中で最大の値を発表するのが普通である。しかし今回の経済産業省の休日中にもかかわらずの発表には産出状況に関わる情報が皆無である。こう言う場合は計測に値しないような産出をしているということである。つまり通常の産出試験なら直ちに打ち切り、という場面なのである。

従って新聞などに躍る「成功」の意味する所はメタンハイドレート由来のメタンガスが“量はともあれ”出てきたことを意味するにすぎない。世論誘導のためのアドバルーンに過ぎないと言った方が実態に近いのではないか。

通常の天然ガスにはエタン、ブタンなどが含まれているためにその燃焼カロリーは高いがメタンだけの場合にはカロリーは大きく下がる。同じ量でもエネルギー的には段違いだと認識しなければならない。記事にはカラー写真がついているが、炎に煙が伴わない点はメタンだけが出ている証拠と言えようか。そしてその写真からは、出てきたメタンガスのレートがきわめて低い、いわゆる「ほやほや」としたものであることがわかる。日量にして千立方メートルあるだろうか。洋上のガス田であれば、1坑あたりの生産量が何十万立方メートルでなければ採算性はないだろう。まして深海での生産(メタンハイドレートは深海にしか存在しない)でかつ、遥か沖合からの輸送をも考えれば、20年以上前の研究開始を経済産業省が民間に協力を強制した当時からプロはものにならぬからしない方が良いと言っていたのである。()石油資源開発に在ってその経済産業省のメタンハイドレートに関するアンケートに会社として否定的意見を書いたのは、当時の片平常務の意を受けた私自身(当時、探鉱部総合課長)であった。

なお、メタンハイドレートに関する技術的なコメントはすでに何度もこのブログに載せている。右下のブログ内検索ボックスに「メタンハイドレート」と打ち込んで検索すればすべての記事が表示されるはずだ。なにやら、石油開発関係者の失業対策事業のようにも感じてしまう昨今である。

 


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