国際石油開発帝石(インペックス)は経営行き詰まりなのか?それを暗示する現象(2)

石油開発専門家として注目することがある。イクシス開発における開発井の最初の2坑が失敗だったことだ。その後にも不成功の坑井が続いたかどうかは国際石油開発帝石が一切発表しないので不明である。開発当初の“通常考えられない躓き”の原因を国際石油開発帝石は、ガス層の広がりを確認するために(リスクのあるポイントを)掘削したからと説明した。

これは考えられないことである。ガス層の広がりが不明であればガス埋蔵量の発表されている数値に信憑性がなくなるからだ。要するに確定しない埋蔵量を仮定して開発に踏み切ったということになる。また、ガス田の場合、水攻法などはするわけもなく、上方に移動するガスを効率よく採収するために端水面付近に開発井を掘削するなどと言う非効率な愚策をとるわけもない。浮き上がってくるのは、評価が曖昧な時点で開発を(恐らく政治的に)決断し、最適な開発計画を立てるには十分ではない貯留層情報で、”開発計画”を決めてしまったのだろうと言う推測である。

巨大ガス田のLNGプロジェクトを進めながらも、急いで近隣鉱区の探鉱を開始する所にも、イクシスの埋蔵量の不足を懸念せざるを得ない。

イクシスについては油価がバーレル当たり60ドル以上でなければ採算性がないと言われてきた。LNG製造関係の施設建設の遅れはさらに経済性を悪化させている筈であるし、その経済性の無さが将来的にもつづくからこそ、大阪ガスは減損処理を行ったのであろう。

では何故30%の権益を持つトタールは問題ないのかであるが、サハリンにおけるサハリン1のエクソンが、プロジェクトの管理運営を請け負うのに際して“べらぼう”とも言える費用を受け取る契約になっていたことを想起すべきだ。サハリン1がつぶれてもエクソンだけは儲かるとさえ囁かれたほどなのである。トタールは国際石油開発帝石の能力ではガス田開発、900キロに及ぶ海底パイプライン建設、そして大型のLNG製造施設建設の大プロジェクト三つを同時になど出来るわけがないので、恐らく”懇願”されて極めて有利な条件で参加したと推定されるのだ。パートナーというものはそれぞれ経済性の分岐点が異なるのが普通なのである。

国際石油開発帝石が資金不足かと強く感じさせたのは、オーストラリア政府に約束していた環境対策費の減額を要請したことである。オイルカンパニーとして実に情けない行動なのであるから余程切実な資金事情があるのだと想像する。

全てを書くわけにもいかぬので、最近の動きに移すが、いくつかの海外権益の売却が続いているのだが、最近国際石油開発帝石はインドネシアのナトゥナの権益を売却した。まだ生産中の油田権益である。他のプロジェクトの資金手当てのために、或る権益を売却するのは珍しい話ではないのだが、この場合は売却損が160億円も出るというのである。油価が上昇すればその権益の価値も上がるであろうにと考えるといかにも売り急ぎの損切に見えるのである。60ドル以下の油価では採算無しというイクシスを続けているのは将来の油価上昇を見込んでいることを示す筈なのだが、その同じ国際石油開発帝石が売却する所に逼迫した事情が垣間見えるように感じる。

LNGの出荷が始まれば探鉱段階の石油公団からの探鉱融資の返済も、巨額のイクシスLNGプロジェクトに関する融資の返済も始まるだろう。そして今年末にはドル箱だったインドネシアのマハカム沖権益は消滅し、それ以降は負の遺産となりかねない状態にあるのである。

直接関係なさそうに見えるが、2016年10月7日に閣議決定された「JOGMEC法案」の審議では国際石油開発帝石が話題になった。そして民間から「海外プロジェクトに対する国の支援を90%にまで高めてほしい」との要望を受けているとの世耕大臣の答弁があった。全ては国際石油開発帝石の窮状と天下り会社の存続への危機感からの国(経済産業省)のテコ入れ(税金投入)に関係しているように見えるのだが。

わが国のエネルギー確保に必要なのは「能力の向上」であって決して「素人経営の失敗に対する税金による後始末」ではないと思う。行政管理庁という独立したお目付けが“なくされてしまった”我が国は、役人のしたい放題の国と化してしまったようである。堀内光雄氏が存命ならば…、出でよ第二の堀内光雄!

業界からも懸念する声(噂)が聞こえてくるのだから正直心配である。

この世に能力的に叶わぬもの、

  昔、武士の商法

    今、(天下り)役人の企業経営(ビジネス)

先人に学ぶは、是人類の知恵、温故知新なる言葉も似たる意味にこそあらめや

 


コメント
初めまして、オーストラリアダーウィンに在住で、イクシスプロジェクトについて調べていてこちらにたどり着きました。

地元ではいろいろと不可思議なことが起こっており心配しておりましたが、資源開発会社の仕組みや内情などわかりませんでしたので、大変勉強になります。ありがとうございます。
  • sachi
  • 2017/04/16 7:58 AM
ご存知だとは思いますが、イクシスではcaprockに商業生産規模可能な量のコンデンセートが存在することが、当該ガス田開発決定以降に判明しています。

某駅弁出身ジオロジストの功績ですが・・・(笑)

Inpexとしては、この点に唯一の望みを賭けてると思われる節があります。
  • 名無し
  • 2018/08/20 11:18 AM
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