園翁自伝(85)駿府時代(21)桐谷文雄先生

桐谷文雄先生は地学履修コースの主任教授だった。私の年からは例年とは違い定員8名のところ7名の応募があったので地質関係の先生方は大喜びだったと言う。

先生は戦前北樺太石油で働き、その後満州での石油探鉱に従事していて敗戦。中国に留め置かれ大学で石油地質を教えていたと言う。確か昭和28年ごろ日本にようやく帰国し、電源開発(電発)に入り、技術士の資格を取ってダム建設に従事した。その関係で水窪ダムの内部まで見学できた。静岡大学では応用地質を教えていて、主に隧道学を講義した。

お宅は静岡の奥座敷と言うべき鞠子にあった。「吐月峰 鞠子の宿の とろろ汁」の句で有名なところで「丁子屋」と言う著名な店がある。「蔦の細道」で有名な宇都ノ谷峠の手前静岡よりを山に入るとその吐月峰柴屋寺がある。小堀遠州作の心字池がある。

さてその桐谷邸でかなり頻繁に宴が模様された。奥様が静かで知的で素敵な方だった。典型的なチェーンスモーカーであった先生の煙草の間接喫煙の影響であろう、肺がんで亡くなった。あるときその奥様が「小野さん、あなたの名前をいただいて孫に付けたいのだけどいいかしら」と聞いた。驚いたが、「勿論。光栄です」と申し上げたら「あなたのような人になって欲しいの」と言われた。確か20歳ごろのことだから現在47歳ぐらいで我が名前にちなんだ「進」と名乗る方が桐谷一族の中にいるはずである。

数年の後この桐谷先生ご夫婦には仲人をしていただいた。お二人の優しい笑顔が忘れられない。

 


コメント
下関市立大学の飯塚です。満洲研究で、桐谷文雄先生について調べております。宜しければ、桐谷先生についてお教え下さい。
  • 飯塚靖
  • 2018/01/07 3:00 PM
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