国際石油開発帝石のイクシスプロジェクトは「大失敗」?!

国際石油開発帝石は業界やメディアからの再三の指摘にもかかわらず、オーストラリア北西大陸棚でのイクシスガス田開発とそのLNGプロジェクトの工程も予算も変化なしだと言い続けてきた。言い換えれば正直な発表ではなく、しらばっくれてきた。しかし、追及に耐えかねて最近渋々予算の10%オーバーと工程の最低限9か月の遅延を認めたばかりである。
それから2週間ほどしかたたないのに、今度はぎょっとするような情報が洩れてきた。26日のThe West Australianのニュースをオーストラリア在住の女友達が急報してくれたのである。イクシスガス田の生産井20坑の掘削が始まったのだが最初の2坑を掘削したが仕上げられなかったというのだ。簡単に言えば失敗なのである。生産井掘削で最初から立て続けに仕上がらないとは「下手くそ」のそしりは免れまい。それより心配なのは本当にイクシスには国際石油開発帝石が主張しているだけの埋蔵量があるのかと言う問題である。私は国際石油開発帝石が、「そこにはガスではなくて石油が賦存する」と、業界の誰もがガス賦存地域だと考えているのを、強弁してイクシスプロジェクトを石油公団の投融資対象にした点などから当時から国際石油開発帝石と言う会社のフェアネスには疑問を感じていたし、試掘当時の発表内容からはそれほど大きなものではないと感じていた。ちなみに私はオーストラリアのプロジェクトの現地GMとしてパースに駐在していたこともあり、比較的注意深く見ていた積りである。その強弁を「認めて」投融資対象にした石油公団はその後廃止になったのだが、当然のことだろう。
石油開発業界の或るソースは「it has forced Inpex to reconsider and re-design its entire 20-well drilling program」(国際石油開発帝石は20坑の生産井掘削計画全体の再検討と再設計を余儀なくされるだろう)と語ったと言う。この発言からは単なる技術的問題でのトラブルではないと判断できよう。生産井掘削作業をいったん停止し、全体の開発計画の見直しに波及する可能性もあるだろう。恐らく会社内は大パニックになっているのではないかと思う。記事からは事態がシリアスな問題であるように見える。
国際石油開発帝石の女性スポークスマンは「最初の2坑の生産井は貯留層のデータを取り、評価するためのものであり、それによって残りの坑井の最適化を図る」と述べた由。だが、そう言うことを済ませてから確信を持って生産井の計画をするのが開発の常識というものだろうに。そんな評価もあいまいな段階で3兆円を超えるプロジェクトをスタートさせたのかと、呆れてしまうような発言ではないか。そして「生産井(と呼べるのか??)2坑は将来の生産井の設計(デザイン)に有用な情報を与えてくれる」と続けたとか。まるで経済産業省の役人そのものの弁解のように聞こえる。
現場作業を実際に行っているのはコントラクターで、作業員は交代で勤務している。如何にかん口令を徹底しても、状況はその日のうちに噂の形で業界を駆け巡る。天知る地知る我知る子知るの世界だ。
開発費の膨張も工程遅延も、今までの国際石油開発帝石の隠蔽体質を考慮すれば、それにとどまらぬ可能性が高い。そして評価井ではなく生産井の最初からの続けざまの不成功となれば埋蔵量に関する大きな懸念だ。埋蔵量が見直しで何倍にもなったと巨大設備を導入したら、その時にはガスが出なくなっってきたという石油資源開発の勇払ガス田の失敗例もあるから、正しい評価がきわめて重要である。ともかく正直な発表がなければ疑心が疑念を…、との状況になるだろう。このような有様ではますますその採算性が懸念される。「大本営発表」を繰り返すようなら一部上場会社の資格などないだろう。
イクシスの最終投資決定以前からイクシス周辺の鉱区を取得し、試掘を始めた国際石油開発帝石の、40年間LNGを生産、供給するガス埋蔵量を確保しているとは思えぬビヘイビアに「ひょっとしてイクシスのガス埋蔵量が不足なのではないか」と感じ、当ブログで懸念を表明したことがあったのを思い出した。(過去のブログ検索は右下の検索ボックスで可能です)
既に国際石油開発帝石の格付けは「ネガティブ」だが、さらに一段落ちるかもしれない。「経済産業省の世紀の大失敗」の匂いが強くなってきたような気もする。
記事のオリジナルは以下のURLで。
 
https://au.news.yahoo.com/thewest/wa/a/29640445/inpex-hits-ichthys-well-snag/?cmp=st
 
元々法学部出身の役人が天下って経営できる業種ではないのだが、国際石油開発帝石は、経済産業省、その天下り、石油公団の落ち武者が主導していると見て良い会社である。その能力と組織には不安が付きまとう。役人などが自らギブアップする能力にすら欠けることは新国立競技場問題で明らかだろう。タオルを投げ込む人が必要なのかもしれない。残念なことに、状況を総合的に見ていると「杞憂」に終わるとは思えないのだ。
つぎ込んでいる資金も養っている費用も、そのかなりの部分は国民の財産なのだから、国会議員よ、しっかり監視せよ。
(写真は昨夜の満月。月は美しい、しかし自ら光っているわけではない)


 

コメント
オーストラリアではインペックスのイクシスプロジェクトについて連日報道がなされているのに対して、日本国内では園田豪さんのブログ以外にあまり情報がありません。
インペックスは筆頭株主が経済産業大臣であり、多額の国民の税金が投入されている企業です。
国益のことを考えると、国会議員やマスコミはイクシスプロジェクトにもっと注目を向け、正確な情報開示を求める義務があるのではないでしょうか。
そのため、利害関係のない石油開発の専門家として園田豪さんを国会に参考人として招集し、客観的な意見を求めようとする国会議員が現れても良いのではないでしょうか。

  • 納税者
  • 2015/09/28 10:08 PM
生産開始が2018年度上期末となり3月中の生産開始から約半年も遅れ半年分のLNG等の販売収入がなくなったにも関わらず2018年度(2019年3月期)の連結業績予想については、変更ありませんと国際石油開発帝石より5月31日付で発表されていますが、最初から2018年度の上期の販売収入は見込んでいなかったので業績予想に影響が無いと言う事なのでしょうか。もし見込んでいるとしたら半年分の収入が0にも関わらず業績予想になぜ影響が無いのか説明が必要だと思います。
  • 高松 和弘
  • 2018/06/27 9:35 AM
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